VAIOのモバイルディスプレイがビジネスの現場にもたらす「自由な働き方と高い生産性を両立する体験」とは
VAIO初のモバイルディスプレイとして開発されたVAIO Vision+TM 14・VAIO Vision+TM 14P(以下、VAIO Vision+)。今、あえてVAIOがモバイルディスプレイを作ることにどんな「意義」があるのか。そこに込められた「こだわり」と、それによって生み出される「価値」を開発の中核メンバーたちが語ります。
開発本部 プロダクトセンター
UXソリューション開発室
室長
浅輪 勉
開発本部 テクノロジーセンター
プロジェクトマネジメント部
PL課
古川 恵一
開発本部 テクノロジーセンター
メカ設計部
メカ設計課
武井 孝徳
開発本部 ITソリューションセンター
ソフト設計部 PCソフト課 兼
開発本部 プロダクトセンター
迫田 翼
「圧倒的に軽い」だけじゃない
−−まずはVAIOがなぜモバイルディスプレイを開発したのかを教えてください。
浅輪:私たちVAIOは、PCがコモディティ化していく中、いかにお客さまに提供できる価値を高めていけるかをずっと考え、取り組み続けてきました。特に新型コロナ禍以降はリモートワークの体験に注目し、Web会議時に環境ノイズだけを除去する「AIノイズキャンセリング機能(説明動画はこちら)」を搭載しています。
−−AIノイズキャンセリング機能は家族のいるリビングはもちろん、周囲に別のWeb会議に参加している人がいるオフィスなどで実用性の高い機能として好評でしたね。
浅輪:その成功もあって2023年、「自由な働き方と高い生産性を両立する体験」を専門に考える「UXソリューション開発室」が作られました。この開発室ではいくつかのテーマをもとに機能や製品開発に取り組んでおり、その最初の成果物が「拡張ワークスペースで生産性を高める体験」というテーマから生まれたVAIO初のモバイルディスプレイVAIO Vision+です。
−−モバイルディスプレイはすでに多くのメーカーからさまざまな製品が発売されています。その中でVAIO Vision+が提供する、VAIOならではの「価値」とはどのようなものでしょうか?
浅輪:実は以前から、VAIOの持つさまざまな軽量化技術を活用すれば、これまでの製品と比べて軽量なモバイルディスプレイを作れるのではないかと思っていました。それも数グラム軽いとかではなく、圧倒的に軽いものをです。
すでにモバイルディスプレイを使っている方には共感していただけると思うのですが、出先でふと「もう1台、ディスプレイがあれば便利なのにな」って思うことは結構多いんです。ただ、そういう時に限って、モバイルディスプレイを持ってきていないという(笑)。
−−わかります。既存のモバイルディスプレイはそこそこ重いので、出張など「絶対に使うぞ」って時以外、持ち歩くのが億劫になってしまうんですよね。結果、せっかく買ったのに使わないなんてことになりがちでした。
浅輪:そこでVAIO Vision+では、使わない時でもビジネスバッグの中に入れっぱなしにしておけるくらいの軽量化を目指しました。もちろんその上で、VAIOのモバイルノートPC同様、安心して持ち歩ける頑丈さも確保しなければなりませんが、VAIOの誇る立体成型カーボン技術や、軽量・省電力の液晶パネルなどを駆使することで、軽さと強さを両立できると考えたのです。
タテ置き(上下二画面)、ヨコ置き、両対応
−−ちなみに14.0型ワイドという画面サイズはどのようにして決定されたのですか?
古川:製品企画を詰めていくにあたり、もちろん多くのサイズを検討しました。ただ、実際に持ち運ぶことを考えたとき、モバイルで主流の14.0型ワイドのサイズ感に揃えるべきだろう、そして可能な限り薄くしようと。ノートPC本体と重ねるかたちで今まで使ってきたビジネスバッグにそのまま入れば、携帯性を損なうことなく体験だけを向上できますから。
迫田:VAIO Vision+は、持ち歩いたけれど使わなかった日でも損した気分にならない、常にそばにあるのが当たり前という存在を目指しました。
−−なるほど。たしかに気軽に持ち歩ける軽さと薄さ、そして強さを備えることは多くのビジネスパーソンにとって大きな「価値」になりそうですね。
浅輪:ただ、同時にそれだけでは「自由な働き方と高い生産性を両立する体験」として物足りないなとも思いました。そこでもうひとつ何か、VAIOならではの価値を追加できないかを考えて行き当たったのが「タテ置き(上下二画面)」というアイデアだったんです。ビジネスホテルの狭いテーブルのような横幅がノートPC1台ギリギリしかない場所でも、VAIO Vision+ならノートPCの上に無理なく配置でき、生産性を高めることができます。
−−「上下二画面」はVAIO Vision+の軽さをいかす良いアイデアだと思います。モバイル時のセカンドディスプレイと言うと、横に置くのが当たり前だと思っていたのですが、実際に上下二画面を試してみると視線移動が小さく済むなど非常に便利ですよね。
浅輪:はい。ぜひ実際にお試しいただきたいですね。もちろん、これまで通りのヨコ置きでもご利用いただけるよう、背面にスタンドを用意しています。
迫田:さらに、VAIO Vision+はVAIO以外のPCでもお使いいただけるよう、Windows PCやMacなど、100台を超える機器との接続テストを行いました。これまでVAIOを使ったことがないというビジネスパーソンの皆さんが、VAIO Vision+の体験を通して、VAIOのPCを使ってみたいと思っていただけたら、これほどうれしいことはありません。
内製にこだわったからこその完成度
−−今回、VAIO Vision+を開発するにあたって、VAIOならではのこだわり、取り組みがありましたら教えてください。
浅輪:新しい価値を生み出す製品作りには、やりながら最適な答えを見つけたり、これまで使ったことのない新しい技術を取り入れたりしなければなりません。そこで、設計から製造までを内製化し、長野県安曇野市のVAIO本社内で手早く、質の高いトライ&エラーをくりかえしながら完成度を高めていくことにしました。
−−具体的にはどのあたりにその成果があらわれていますか?
浅輪:内部の構造などすべてがそうなのですが、あえてひとつ挙げるなら、付属のカバースタンドがその好例だと思います。これは企画チームからの「製品を入れて持ち運ぶケースを同梱したい」という声を受け、軽量ボディのメリットを損なわない軽さと、上下二画面を実現するためのスタンドに変形する構造を両立させることを目的に年単位で試行錯誤し作りあげたものです。のべ20人くらいのメンバーが関わり、さまざまなやり方を検討していく中で、実はいったん、ケース自体に大きな脚を付ける形状に行き着き、試作品(下写真参照)を作るところまで進んでいました。ところが社内にお披露目したところ「大きすぎる」「せっかくのスリムボディを台無しにしている」と酷評されてしまったんです(苦笑)。
−−たしかに一般的なケースと比べて大きな脚が付いていて、かなりぶ厚く感じますね。
浅輪:そうなんです……。そこで、この試作までしたケースは破棄して、ほぼゼロから改めて理想のケースを考え直すことにしました。
−−このあたり、試行錯誤しやすい内製でやっていたから実現できたと言えそうですね。
浅輪:はい。その通りです。一般的にこうしたケースは専門メーカーに丸投げすることも多いのですが、このケースに関しては当初から自分たちで取り組み、素材も含めた知見やノウハウを蓄積していました。そのため、ゼロからやり直すことにはなりましたが、かなり短期間で折り紙のように変形させることでスタンドにもなるこの形状に行き着くことができたと思っています。
古川:いわゆるソフトケースとは異なる、堅い板状の素材で包む形状にしたことで、デリケートな液晶部分をしっかり保護できるようになっているんですよ。薄く、軽くはなっていますが、本体を守るという機能については一切妥協していません。
サステナビリティを意識したものづくり
−−昨今、企業が導入するビジネスツールには環境への配慮も求められるようになっています。このあたりVAIO Vision+ではどのように考えていますか?
浅輪:もちろん、VAIOではこれまでの製品でも環境への配慮にはしっかりと取り組んでおり、VAIO Vision+においても、開発当初から環境負荷の低減を念頭に置いています。そもそも、この製品がお客さまの生産性を高めることで働く時間を減らしたり、働く場所に囚われないことで移動時間・距離が少なくなれば消費するエネルギーが減り、環境負荷の低減に繫がるという一面を持っています。その上でここでは本製品の特筆すべき特長として、VAIO初となる「熱可塑性カーボン」の採用と、包装の工夫について紹介させてください。
−−ではまず「熱可塑性カーボン」について教えてください。
武井:これまでのVAIOは、基材に熱硬化性樹脂を用いたカーボン(CFRP)を用いてきたのですが、熱硬化性樹脂には一度熱を加えて固化してしまうと再度熱を加えても柔らかくならない特性があり、それがリサイクルを困難にしてしまう弱点がありました。そこで今回は、再度熱をかけると柔らかい状態に戻せる熱可塑性樹脂を基材に用いたカーボン(CFRTP)を採用し、廃棄後のリサイクル性を高めています。
熱可塑性カーボンは加工が難しく、これまで採用できずにいたのですが、研究を続けた結果、今回ついに実際の製品で使用することができました。
−−包装の工夫についてはいかがですか?
浅輪:環境負荷を減らすという観点で、VAIOでは以前からマニュアルの電子化など同梱物の見直しを進めているのですが、この製品では本体を付属のカバースタンドに格納した状態で発送することで、包装材を少なくするという取り組みを行っています。また、プラスチック素材の包装材をゼロにするために、植物由来の原料を使用した不織布の袋を採用するなどの取り組みもしました。手元に届いてすぐに使えるというメリットも生まれたのではないかなと思っています。
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