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VAIO A12・Pro PA開発ストーリー Vol.4 開発者が語る「VAIO A12は”梱包”も新しい」

VAIO A12・Pro PA開発ストーリー Vol.4

環境に配慮してより薄く、より軽く。
でも、それだけではVAIOらしくない。

PC事業部 PC設計部
プロジェクトリーダー課

花村 英樹

PC事業部 PC設計部
メカ設計課

上井 健介

新発想のVAIO A12に相応しい梱包を1から考え直した

−−VAIO A12から、VAIOの梱包が大きく変わりました。まずは、その背景について聞かせていただけますか?

梱包設計担当 上井:VAIOでは、2015年に発売したVAIO Z以降、直近のVAIO S11/S13まで、細部は異なるものの、基本的には同じ箱を利用していました。しかし、ご存じのようにVAIO A12では、形状も利用スタイルも、これまでのPCとは大きく変わります。そこで、梱包の方でも新しい提案ができないかと考えました。

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−−新しい提案とは具体的にはどういったものなのでしょうか?

上井:まず、何より重視したのが環境への配慮です。箱をより薄く、より小さな形状にできれば、それだけ使用する段ボールの量が減りますし、一度に輸送できる量も増えます。ただ、梱包材には中に入っている製品を保護する役割もありますので、むやみに薄くして、緩衝性能を落とすわけにはいきません。また、お客さまが製品を持ち帰って、箱を開けるときのワクワク感を演出しようとすると、どうしても構造が複雑に大きくなっていくという問題もありました。

−−そんな中、どのような工夫で梱包の薄型化に成功したのでしょうか?

上井:何か新素材を使ったとかそういうことはなく、1から構造を見直すことで、スリム化を図りつつ、従来同等の緩衝性能を確保しています。

従来の箱では、化粧箱の蓋を2層構造にした上で、開けたところにPC本体を収納する中箱を配置、その下にアクセサリーを収納し、PC本体に衝撃が伝わりにくい構造にしていました。結果として、かなりの頑丈さになっていたものの、段ボールの使用量はかなりのものになっていましたし、構造も複雑でした。ちなみにこの化粧箱は、配送時にはさらに外箱に格納して傷や汚れから保護しています。

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対して、新しい箱では、そうした構造をやめ、外箱を開けると、そこに電源コードなどのアクセサリー類を格納するスペースがあり、その奥に本体だけを収納した小さな化粧箱を入れる構造としました。化粧箱の構造もシンプルにしており、こちらは緩衝ブロックを底面にだけ確保。側面や天面からの衝撃は外箱の方で吸収する仕組みにしています。

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−−これまで化粧箱を覆うだけの存在だった外箱に緩衝性能を持たせることで、化粧箱を簡略化・小型化できたんですね。

上井:はい。ちなみに細かい工夫として、この化粧箱は、外箱の中で斜めに格納されるようになっています。こうすることで、側面からの衝撃が本体に伝わりにくいようになるんですよ。

プロジェクトリーダー 花村:これまでは、本体を段ボールの緩衝材で囲うようにして守っていたのですが、このアイデアでは、化粧箱と外箱の間の空間で衝撃を吸収しています。このアイデアを上井から聞いた時は巧いやり方を思いついたなと感心しました。

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−−化粧箱も小さくなったとは言え、天面の蓋が大きく開く形状などは同等。開梱するときのワクワク感も損なわれていませんね。

上井:その上で、化粧箱の高級感を高めるため、その質感にもこだわりました。従来は段ボールの表面を黒く塗ったものを使っていたのですが、今回は黒い紙を貼り合わせた段ボールを採用し、VAIOのロゴも箔押しにし、おもてなし感を高めています。

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花村:商品のイメージを体現した、スリムでコンパクト、なにより美しい化粧箱になっていますよね。

−−……よく見ると、化粧箱の断面は真四角ではなく、奥にいくほどスリムになっていますね。これには何か意味があるのですか?

上井:先ほどお話しした理由から、化粧箱自体にそれほどの剛性を持たせる必要がなくなったため、段ボールをかなり薄い素材に変更しています。ただ、そうすると化粧箱を手で持ったときにたわんでしまうので、本体のウェッジシェイプに合わせた形状にすることで、化粧箱が歪んだり、シワが入ったりしないようにしています。

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−−今後のVAIOもこの新しい箱を採用していくのですか?

上井:そうですね。今後登場するモバイルノートPCに関しては、このタイプの箱に切り替えて行く予定です。

段ボールの使用量はなんと約半分に!

−−今回のパッケージを生み出すに当たってどんな苦労があったかもお話しください。

上井:「より薄くしたい」「よりかっこよくしたい」という目標はあったものの、それをどのように実現するかには、いろいろな試行錯誤がありました。新しいアイデアを具現化するため、「箱」という概念から離れようとし、化粧箱が本体をくるむような「カバー」形状を試したこともありましたね。

−−ちなみに、段ボールの使用量はどれくらい減りましたか?

上井:およそ半分になりましたね。従来の梱包材は外箱も含めて約800g(VAIO Zの場合)ありますが、VAIO A12の新しい梱包材は、これを約400g程度にまで抑えています。自分も、ここまで軽くなるとは思わなかったので驚きました。最初は測りまちがえたんじゃないかと思ったほどです(笑)。

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花村:既存の梱包の延長線上で考えていたら、どんなに工夫をしてもせいぜい1〜2割程度の軽量化に留まっていたと思います。

上井:実は、本当に最初の段階では、とにかく薄く、軽くすることを最優先にしており、見た目のかっこよさなどはあまり重視していませんでした。ところが、それを花村らに見せたところ、皆が口を揃えて「それじゃあVAIOじゃない」と言うんですね。今回、最終的に見た目にもきちんとこだわったものになったのは、そうした声があったから。そういう意味では、“オールVAIO”体制で生み出したパッケージと言っても過言ではありません。

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