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VAIO S11/S13・VAIO Pro PF/PG開発ストーリー Vol.3

開発者が語る
「VAIOが追求する
ストレスフリーとは?」

数値化できないこだわりと作り込みで
ユーザーのストレスを軽減し
生産性を高める。

  • PC事業部 PC設計部

    プロジェクトリーダー課
    課長

    巣山剛志

  • PC事業部 PC設計部

    メカ設計課
    メカ二カルプロジェクトリーダー

    曽根原隆

  • PC事業部

    ソフト&ソリューション部
    ソフト設計課
    ソフトプロジェクトリーダー

    市川英志

  • PC事業部 PC設計部

    プロジェクトリーダー課
    エレクトリカルプロジェクトリーダー

    江口修司

好評だったキーボードをフルリニューアル

--「ストレスフリー」は、先代VAIO S13の頃から継続しているコンセプトです。今回、VAIO S11/13を刷新するにあたって、設定した新たな「目標」を教えてください。

プロジェクトリーダー 巣山:これはより大きな枠組みの話になるのですが、今回、VAIO S11/S13(およびPF/PGシリーズ)を「共通設計」で開発することになったのは、先代VAIO S13(VJS131シリーズ)でハイレベルに実現していた「ストレスフリー」と、先代VAIO S11(VJS111シリーズ)で初搭載した「SIMフリーLTE」を、13型モデル、11型モデルの双方で実現するため。特に、先代S11については、薄さ、軽さ、質感などにおいて追求できていない部分がありました。

--「ストレスフリー」なS13と、「SIMフリーLTE」のS11、その良いところ取りを目指したのですね。なお、「SIMフリーLTE」については、別項(>>開発者が語る「もっと! どこでも“快適”オンライン」)でまとめていますので、ここでは「ストレスフリー」について聞かせてください。

--まずはキーボードについて。こちらは先代VAIO S13(VJS131シリーズ)も、先代VAIO S11(VJS111シリーズ)もかなり高品質なものを搭載していました。それをどのように進化させたのでしょうか?

メカニカルプロジェクトリーダー 曽根原:今回のキーボード設計における最大の取り組みといえるのが、キーボード面をパームレスト面よりも上に上げてしまおうというもの。よく見ていただければわかると思うのですが、従来VAIOに限らず、ほとんどのモバイルノートPCは、パームレスト面にくぼみを作って、そこにキーボードを配置しているのです。

--今まで意識したことがなかったのですが、確かに言われてみるとそうですね。

曽根原:まずこの段差が手に当たって痛いという方がいます。また、キーボードを拭き掃除する際、フチの部分に汚れが溜まってしまうという問題がありました。見た目もちょっと良くないですよね。なにより、凹んだ場所にあるキーは押しにくい。であれば、いっそこのくぼみをなくしてしまおう、と。

--でも、そんなことをしたら飛び出したキーボード面が、閉じた時にディスプレイにぶつかってしまいませんか?

曽根原:はい。そこで閉じる時に、キーボード面が、ディスプレイベゼルの内側のくぼみに収まるように設計しました。新しいVAIO S11/S13(およびPF/PGシリーズ)がタッチパネルを搭載しないという判断をしたことで実現できたことですね(注:タッチパネルの場合、ディスプレイベゼルとディスプレイ面がフラットになるため、この構造が実現できない)。

--なるほど!

曽根原:今回は、キーボードに限らず、電源スイッチや、後でお話しするタッチパッドのボタンなど、ボタン類は全て押しやすいよう、隆起させているんですよ。微妙な違いではあるのですが、それでだいぶ使いやすくなったと思います。

電源ボタン

--なんだか良いことずくめに聞こえるのですが、この構造を実現するにはどんな技術的ハードルがあるのでしょうか?

曽根原:堅牢性という点ではあまりやりたくはないですよね。落とした時などに内部の衝撃が逃げるスペースが減ってしまいますから。ただ、実際にやってみると、キーボードを押し上げた分だけ、基板側にスペースができていて、むしろそれによって堅牢面でも有利になるということが分かりました。

--ここまでにお伺いした話以外に、キーボード周りで工夫したことがありましたら教えてください。

巣山:従来モデルにおけるキーボードの故障報告を見ていると、お菓子のクズや、シャープペンシルの芯、クリップなどといったものがキートップの下に入り込んでタイピングできなくなってしまうというトラブルが、多くはないのですが確認されています。そこで今回はキートップをごくわずかに沈みこませることで、これらを防ぐようにしました。

曽根原:今までのVAIOはキートップをストロークしたときの高さが、キートップ周囲の面に対してフラットになる設計になっていました。ただ、そうすると薄型化との兼ね合いでどうしても、ストロークしていないときに、キートップ下側に異物が侵入する隙間がでやすくなってしまいます。そこで新しいVAIO S11/S13(およびPF/PGシリーズ)では、キートップを約0.2mmだけ下げて、この隙間を発生しにくいようにしているのです。

先代VAIO S13(VJS131シリーズ)
VAIO S13(およびPGシリーズ)

--それによって使いごこちが変わったりはしないのですか?

曽根原:ストローク自体は変わらないので、同じような感覚で使っていただけます。また、実際、ハードにキーボードを利用されるかたに試していただき、0.2mm程度なら利用感に影響がないということを確認しています。

細かなこだわりが凝縮した新しいタッチパッド

--続いてタッチパッドについても教えてください。先代VAIO S13(VJS131シリーズ)は2ボタンタッチパッドを、先代VAIO S11(VJS111シリーズ)は高精度タッチパッドを搭載していましたが、これも今回、2ボタン付き高精度タッチパッドという良いところ取りになりましたよね。

2ボタン付き高精度タッチパッド

ソフトプロジェクトリーダー 市川:先代VAIO S11(VJS111シリーズ)で採用したWindows 10ジェスチャー対応の高精度タッチパッドは、動きの滑らかさなどが好評だった反面、特に法人のお客さまからクリックボタンが欲しいというフィードバックを多くいただいていました。当時は、よりタッチ面を大きくするためにボタンを排したのですが、やはり物理的にボタンがないと押し間違えてしまうことが多いと言うのです。

--お客さまに画面を向けて操作しているときなどは、特にそういう押し間違いをしてしまいそうですね。

市川:そうなんです。そこで今回は高精度タッチパッド搭載かつ、2ボタンも付け、さらにサイズも充分に確保したものを作ろうと考えました。

--それぞれの点で従来モデルよりも進化したところがあれば教えてください。

市川:全部です。まず、高精度タッチパッドは、先代VAIO S11(VJS111シリーズ)の時点で充分な品質に達していたと自信をもっているのですが、今回、設計チーム、QA(Quality Assurance=品質保証)チーム、商品企画チームで何度も試し、微調整しながら最終的な仕様を追い込んでいます。

--その際、こだわったのはどういった点でしょうか?

市川:こだわったというか、気を使った部分なのですが、タイピング中、手のひらがタッチパッドに触ってしまった時にこれを無効化する、パームリジェクションの効きについてはかなり試行錯誤しました。いろいろな人に実際に試してもらい、その癖を分析して誤操作しないようにしています。

--もう1つのこだわりポイントであるクリックボタンについても教えてください。

巣山:VAIOでは安曇野本社と東京オフィスで頻繁にテレビ会議をしているのですが、この際、先代VAIO S13(VJS131シリーズ)を使っている人のクリック音が結構気になるんです。これはまずいな、と(笑)。特にお客さまから目立ったクレームがあったわけではないのですが、今回はそれを解消したいと考えました。

--静かな場所で作業している時に、カチカチという音が気になることはありますね。

巣山:はい。そこで今回はさまざまなタイプのクリックボタンを試作し、それを音が強調されて響くガラス板の上で実際にクリックして、最も耳障りでないものを選びました。

--最も「音が小さい」ではなく、最も「耳障りでない」ものを選んだのですね。

巣山:はい。クリック操作を認知する、という意味でも「クリック感・音」は必要です。しかし、人間の耳には特に耳障りに感じる帯域がありますのでそこでカチカチなるとすごく気になってしまう。逆にそこを外せば、あまり気にならなくなります。実はこれをキーボードに応用したものが、VAIOの機能の中でも特に好評な「静寂キーボード」。今回、挑戦したのは言わば「静寂タッチパッド」とでも言うべきものですね。

曽根原:実は、そのために構造も大きく変えています。先代VAIO S13(VJS131シリーズ)では、クリックボタンのヒンジが手前側にあったのですが、新しいVAIO S11/S13(およびPF/PGシリーズ)では、これを奥側に持っていっています。これによって何が変わるかと言うと、クリックボタン手前を押し下げる使いやすい動作にでき、固定するヒンジ部の長さも短くすることができています。

巣山:このアームが長いと、ボタンを押す場所によってはちょっとねじれた感じになってしまうんですよね。

曽根原:それによって、クリック音もちょっと長くなり、耳障りな響きが生まれてしまっていたので、それも今回改善したかったのです。

巣山:あと、それによって押し心地が良くなったというメリットもありますね。単純に音を小さくしたいのならばクリック感をフニャフニャにしてしまえば良いんですが、言うまでもなくそんな対策はVAIOとしてありえませんから。

約6度の傾きが快適さの秘訣

--使い心地の向上と言えば、今回、先代VAIO S13(VJS131シリーズ)で好評だった「無限パームレスト」にも大きな手が入ったと聞きました。具体的にはどういった点が変わっているのでしょうか?

無限パームレスト

巣山:無限パームレストは、先代VAIO S13(VJS131シリーズ)のさらに前の、VAIO Proシリーズから提供している機能。パームレストがデスクから一直線にせり上がっているようなイメージで、手のひらに段差を感じることなく、快適にタイピングしていただけるというものです。ただ、残念ながら直近の製品では、端子類の厚さや、バッテリー容量増加などによって、理想よりも段差が大きくなってしまっていました。

--それをまた元の理想的な形状に戻そう、と。

巣山:そうですね。ただ、薄さはともかく、角度についてはユーザーによって意見が分かれるところでもあります。そこで今回、改めて、社内メンバー100名程度にアンケートを実施。0度から12度くらいまで、さまざまな角度に設置したキーボードを触ってもらって、理想的な傾斜角を再検討することにしました。

--どのような結果がでましたか?

曽根原:それが、思っていた以上に「もっと傾斜があった方が打ちやすい」という声が多かったんです。そこで、これまでの製品はおよそ4度前後の傾きを付けていたのですが、今回は約6度の傾斜を付けることにしました。手前をより下げて、奥をより上げるというかたちになっています。

巣山:これ、長時間触っていると違いがはっきり分かってくると思います。もちろん、好みや体格の違いもあるので「絶対」とは言えないのですが、分布的により多くの人に快適に使っていただけるものに仕上がっているのではないでしょうか。ぜひ、店頭で触ってみていただきたいポイントの1つです。

実際の利用シーンを想定して、真の使いやすさを追求

--VAIOと言えば充実したインターフェイスも人気の秘訣。アナログVGA端子搭載など、実際の利用シーンを想定した構成が魅力です。

エレクトリカルプロジェクトリーダー 江口:まず設計の基本方針として、VAIO S11/S13(およびPF/PGシリーズ)は「共通設計」を掲げており、自ずと端子類も共通化されています。結果、大きく変わったのが11型モデル。先代VAIO S11(VJS111シリーズ)にはなかったHDMI端子が追加されたほか、USB 3.0端子も2つから3つに増量されています。

--最近は会議室に最新のHDMI接続プロジェクターや大画面テレビが置かれていることも多くなりましたから、HDMI端子搭載はうれしいところですよね。

江口:先代VAIO S11(VJS111シリーズ)も、USB Type-C端子にHDMIアダプターを繋いでいただくことで回避できたのですが、やはり法人のお客さまを中心に、直接繋げるようにしてほしいという声が多く、今回は何とかそれを実現しました。

巣山:大切な商談の際に、「アダプターを忘れました」では許されませんから。やはりアナログVGA端子、HDMI端子の両搭載は必須だったのです。

--VAIO S13はまだしも、コンパクトなVAIO S11でそれを実現するのはかなり難しそうですよね。どういった苦労がありましたか?

江口:ポートを増やすと、当然ながら基板の面積が大きくなります。そうするとどうしてもバッテリーの容量を減らすしかなくなってきます。ただ、実際の利用シーンを考えると、それで駆動時間が減ってしまうことは許されません。

--結局、どうやって解決したのですか?

江口:今回のVAIO S11/S13(およびPF/PGシリーズ)では、電力面の制御を以前より細かく行っています。それによってバッテリー容量を減らしても、今まで以上の長時間駆動できるようにしています(注:VAIO S11は先代モデル+約0.8時間、VAIO S13に至ってはより長時間(+約2時間)の駆動が可能になっています)。

--ほか、インターフェイス周りで工夫されたことはありますか?

巣山:本当に細かい所なんですが、ポップアップ式の有線LAN端子に仕掛けを1つ追加しました。実際に、出張先のホテルなどで有線LAN接続を多用する人には分かっていただけると思うのですが、部屋に用意されているLANケーブルって、取り外し用のツメがなくなっていたり、へたってしまっていることが多いんですね。そして、それに気がつかずに装着してしまうと、ケーブルが抜けなくなってしまうなんていうことに……。

--それ、わかります!(苦笑)

巣山:そこで、今回、コネクタの裏側に小さな孔を空けてもらい、そこにピンを押し込むことでケーブルを無理なく抜けるようにしました。ちなみにこの孔のサイズは、一般的なつまようじの大きさ。出張時、コンビニで買ってきたお弁当に付いているつまようじを刺していただけるようにしたんですよ(笑)。

--つい笑い話のように聞いてしまいましたが、実際にはそうした小さな気遣いが、大きな利用感の差になってくるのだと思います。最後に、なぜVAIOがそこまでして、ユーザーの「ストレスフリー」にこわだるのか、その理由について教えてください。

曽根原:PCって、今やものすごく安価に手に入れられるようになっていますよね。でも、だからこそVAIOは「安かろう、悪かろう」であってはいけないと思っています。数値にでないところもしっかり作り込んでいかないといけないんです。

市川:そうした作り込みの一例として、VAIO株式会社としては初となる指紋センサー搭載が挙げられます。このセンサーはOS標準のWindows Helloに対応しており、セキュアなログインと、センサーへのタッチだけで行なえる利便性を両立させています……と、ここまでは多くの他社製PCでも実現していること。VAIOはそれに加えて、スリープ時に指紋センサーにタッチすると自動的にログインまでされるよう、この機能を改良しました。こうした作り込みがVAIOの考える「ストレスフリー」なのです。

--たったひと手間の軽減ですが、これは便利ですね!

市川:ちなみに指紋センサーには1ユーザーに付き10本までの指紋を登録可能です。タッチした指によってログインするアカウントを切り替えられるので複数名でVAIOを共有するときなどに便利ですね。仕事とプライベートなど、複数のアカウントを使い分けているユーザー様にも、非常に便利な機能だと思います。

--PCの買い換えを検討している人には、ぜひこうした作り込みへのこだわりを見てほしいですね。

曽根原:ここ数年、VAIOは特に法人向けに力を入れるようになっていますが、この市場って、本当にお客さまの目が厳しいんです。単に価格を含めたスペック要件を満たすだけでは認めていただけません。社員の生産性を上げるために、取引の現場で問題が起きないように、実に細かいところまでチェックされます。誤解されがちなのですが、細部の作り込みよりコストが重要、ということにはなりません。ですからVAIOはこれまでも、これからもこだわり続けます。新しいVAIO S11/S13(およびPF/PGシリーズ)は、その最先端なのです。

(2017年9月21日掲載)

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