VAIO 2021年秋モデル開発ストーリー 勝色特別仕様、再び

VAIO 2021年秋モデル開発ストーリー

2019年夏にVAIO株式会社設立5周年記念モデルとして登場し、これまでにない色と質感で大変な話題となった
プレミアムエディション「勝色特別仕様」が、2021年秋、再登場。しかも、フラッグシップモバイルのVAIO Zと、メインストリームのVAIO SX12、VAIO SX14で、全く異なる2つの「勝色特別仕様」が登場することとなった。そこに込められた想いを開発メンバーに訊く。

テクノロジーセンター
メカ設計部 メカ設計課
メカニカル プロジェクトリーダー

曽根原 隆

テクノロジーセンター
メカ設計部 メカ設計課
メカニカル プロジェクトリーダー

武井 孝徳

絶対に美しいものになるという確信があった

−−まずは、VAIO Zの「勝色特別仕様」についてお話しください。

メカ設計 武井:2021年2月に発表された新しいVAIO Zは歴代のVAIO Z同様にお客様に最高のパフォーマンスマシンを提供するというコンセプトのもと、カーボン目出しの勝色特別仕様を導入することで艶やかさや美しさを表現し、所有することの喜びを感じていただけるよう仕上げました。

−−VAIO Zには「SIGNATURE EDITION」という特別仕様モデルが存在しますが、それと比べてかなりドレッシーな、ツヤのある塗装になっていますよね。

武井:そうですね。VAIO Z | 勝色特別仕様では、VAIO Z最大の特長である立体成型フルカーボンボディの滑らかな曲線に光沢感のある勝色透過塗料を乗せることによって、艶やかな輝きと立体感を感じられるようにしました。これまでのモデルのように平面カーボンを採用した勝色特別仕様とは一線を画す仕上がりになったと自負しています。

−−この勝色透過塗料によるグロス感と、その奥に透けて見えるカーボンファイバーの繊維目は、2019年7月にVAIO設立 5周年記念モデルとして発売され大好評を博したVAIO SX12、VAIO SX14の勝色特別仕様によく似ていますが、技術としては同じものなのでしょうか?

武井:はい。塗料は同等のものを使用しています。ただ、大きな違いとしてこのVAIO Zは、パームレストやボトム面もカーボン素材で、その部分も勝色特別仕上げにしているため、どの角度から見ても、この質感を楽しんでいただけるようになりました。特に底面の立体的な形状は勝色特別仕様のグロス感ととても相性が良いと感じています。個人的にとても気に入っているポイントです。

−−ボディ全体をグロス塗装する難しさについて聞かせてください。

武井:ディスプレイのハウジング部分を例に挙げると、VAIO Zの立体成型フルカーボンボディは、液晶パネルを囲むベゼルパーツが背後の天板からぐるりと巻き込むように一体化しているので、塗装時に勝色透過塗料を表裏から2度に分けて吹き付ける必要があります。その塗料の合わせ目を美しく、平滑にするのがまず苦心したところですね。

また、ボトム面についても、VAIO Zはカーボンパネルを絞ることで立体的なビス座を作っているのですが、どうしてもここに塗料が溜まってしまい、それに起因した問題がいくつか発生してしまいました。こうした問題も塗装条件や乾燥条件などを何度もトライアルを重ねて解決しています。

−−たしかにこの塗装は厚みもあって、均一に塗布するのが難しそうです。

武井:そうなんです。今回に限らず、この勝色透過塗料は極めて扱いが難しく、素材のちょっとした凹凸や傷、埃などが仕上がりに大きく影響してきます。そのため、塗装の後に全体を細かくチェックして必要に応じてポリッシャーで平坦にするなど、標準モデルよりも表面仕上げに格段の手間をかけています。

−−VAIO共通の個性となっているヒンジ部背面のオーナメントについてはいかがですか?

武井:VAIO Z | 勝色特別仕様では、VAIOロゴとオーナメントを特別なゴールドにしています。特に今回のオーナメントは表面処理をVAIO Zの通常モデルとは異なる、光沢のある仕上げにしました(通常モデルはつや消しのシルバー)。ちなみにこれは1つひとつ職人さんがザラツキがある生地から光沢が出るまで手仕事で磨き上げてくれているんですよ。

−−そんな手間をかけているんですね! そのほか、勝色特別仕様だけのプレミアムがありましたらぜひ聞かせてください。

武井:本体の話ではないのですが、付属のクリーニングクロスは勝色の特別品で生地はきめ細かく肌ざわりがとてもよいものを同梱しています。全面がグロス塗装ということで指紋の付着を気にされる方もいらっしゃると思うのですが、このクロスを使うことでサッと拭き取ることが可能です。

−−では最後に武井さんのVAIO Z | 勝色特別仕様への思いを聞かせていただけますか?

武井:実はこの勝色特別仕様は2021年2月の発表に向けて、開発段階から構想がありました。ただ、前回の開発ストーリーでもお話しているように、当時はVAIO Zの立体成型カーボンの量産を安定化することに全力投球しており、とてもこの難しい勝色特別仕様を作り出せる状況ではなかったというのが正直なところです。

しかし、立体成型フルカーボンボディの曲線フォルムと、このグロス感のある勝色透過塗料の組み合わせには、唯一無二の個性や美しさがあると確信していました。今回、お待たせするかたちにはなってしまいましたが、どうにかしてこの塗装をものにし、皆さまにお届けする算段が付きました。これまでのPCにはない究極の持つ喜びを感じていただける製品になったと信じております。

深みと鮮やかさを兼ね備えた理想の勝色を具現化

−−続いて、もう一つの「勝色特別仕様」である、VAIO SX12・VAIO SX14 | 勝色特別仕様についてのお話を聞かせてください。こちらはこれまでの艶やかな「勝色特別仕様」とはずいぶん趣が変わりましたが、どういった狙いがあったのでしょうか?

メカ設計 曽根原:今回のVAIO SX12・VAIO SX14 | 勝色特別仕様は、2019年7月の「勝色特別仕様」の際に検討していたもう1つの路線、深みを持った輝きのある勝色の表現に取り組もうというところから企画がスタートしています。

それが今回特に力を入れたフラットアルミパームレストの発色です。前回は自然藍を含んだ染料を用いてパームレストのアルミ素材をアルマイト染色していたのですが、新しいVAIO SX12・VAIO SX14が強い輝き感を持つ高輝度アルミニウム素材を採用したことを受け、これまで以上に深みのある勝色を表現できるのではないかと考えました。後ほどお話ししますが、天板の色味や質感もそれに合わせて調色しています。

−−なるほど。今回はまずパームレストありき、だったんですね。

曽根原:そうなんです。この勝色を表現できるようになるまで、本当にさまざまなパターンを試しました。理想の勝色を表現するために、複数の染料をブレンドして色を作り込んで行ったのですが、ベースとなる色を青にするのか、黒をベースに紫を入れていくのかでもだいぶ雰囲気が変わってきます。最後は2色のパターンにまで追い込んだんですが、どちらにするのかは本当に悩みました。

−−具体的にどんな2色だったんですか?

曽根原:深みのある勝色と鮮やかな勝色の2色です。先ほどお話ししたよう、このモデルでは深みのある勝色を表現したかったのですが、深みを追いすぎるとパッと見では黒に見えてしまうんですね。チーム内にはそれはそれで品があって良いという声もあったのですが、せっかく高輝度アルミニウム素材を使っているので色がはっきり分かった方が良いという声もありました。ここは本当に悩んだのですが、最後は色をしっかり見せてあげようということでより鮮やかな方を採用しています。

−−天板についても教えてください。まず気になったのが、VAIO SX12・VAIO SX14 | 勝色特別仕様の天板が、VAIO Z | 勝色特別仕様とは異なる、カーボンの繊維目を見せない仕上げになっていたことです。ここにはどういった理由があるのですか?

曽根原:第一にはやはりパームレストとの一体感を出したかったからです。カーボンの繊維目を見せる仕上げも魅力的ではあったのですが、今回はセット全体で従来の艶やかな勝色の持つ魅力を越えたいと考えました。また、新しいVAIO SX12・VAIO SX14は通常モデルも高輝度材のおかげで素晴らしい発色を実現できているので、それらと並べた時に違和感のない、シリーズとしての統一感を持たせたかったという理由もありました。

−−そのあたり、具体的にどんな思いをもって作り込んでいったかを聞かせてください。

曽根原:頑張ったのは、単に鮮やかなだけでなく、深みも出さなければいけないというところです。その上で前回の「勝色特別仕様」で好評だった光の反射で表情が変わる感じも狙っていて、今回は塗料に多くのパール(パールパウダー)を混ぜ込んでいます。ただ、単純にパールを増やすだけだと輝度が落ちてしまうので、そこのベストバランスを見出すべく、試行錯誤を繰り返しました。ちなみに、塗料開発をお願いしたメーカーの方曰く、今回の塗料は、物理的に最大限のパールを含有させて開発したそうですよ(笑)。

−−最大限のパールを含有したというのはすごいですね。でもその甲斐あって平坦ではない、複雑な表情を持つ天板になっていると感じました。そのほか、天板の仕上げに関して印象に残っている苦労・工夫はありますか?

曽根原:天板に使っているカーボン素材にはミクロン単位の微妙な凹凸があって、輝度を上げていくとそれを拾ってしまいます。ですので、狙った輝度を実現するために、まず天板の下地を丁寧に処理してやる必要がありました。

武井:それはVAIO Z | 勝色特別仕様も同様です。繊維目を見せているからといって、素材そのままということはなく、美しく見せるためにきちんとした下処理を行っています。

−−なるほど。思った以上に手間がかかっているんですね。オーナメントについてはいかがでしょうか? 何かひと手間かけていることがあれば教えてください。

曽根原:色自体は従来と同じ黄金色なのですが、新しいVAIO SX12・VAIO SX14ではオーナメントのデザインがドーム形状に変更されているため、受ける印象は大きく変わっていると思います。ひと手間ということでは机面に設置するフットパーツの色味をオーナメントに揃えました。新しいVAIO SX12・VAIO SX14はディスプレイ部分が180度開く構造になっているため、フットパーツが縦に長く、ともするとオーナメントを3分割するように見えてしまうんです。そこでフットパーツが悪目立ちしないよう、小さなパーツなのですが、この部分も着色しています。

−−最終的にできあがったものを見た時の感想を聞かせてください。

曽根原:色自体は「いける」と思いました。存在感のある目立つカラーリングではあると思うのですが、ふだん使いもしやすい色ですよね。ビジネスからプライベートまで、性別を問わず、使う人を限定しない仕上がりになったのではないかと思います。勝色特別仕様は、オンライン販売限定の製品なのですが、全国のソニーストアやVAIOオーナーメード特約店で実機を展示する予定なので、ぜひ実物をごらんになっていただきたいです。まずは我々がこだわった色と質感を感じていただければ幸いです。

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