VAIO SX12・SX14 / VAIO Pro PJ・Pro PK(2021年10月発表モデル)開発ストーリー Vol.1:開発者が語る「デザイン」

強さと美しさは両立できる

毎日持ち歩くモバイルノートPCに求められる強靱さと、
愛用品としての美しさは両立できるのか。
新しいVAIO SX12・SX14 / VAIO Pro PJ・Pro PKが体現する
“用の美”、そこに込められた想いとは?

  • テクノロジーセンター メカ設計部 メカ設計課

    メカニカル プロジェクトリーダー

    曽根原 隆

  • テクノロジーセンター メカ設計部 メカ設計課

    メカニカル プロジェクトリーダー

    長崎 竜希

フラッグシップモバイル VAIO Z譲りの圧倒的な強さ、立体成型カーボン天板

−−まずは新しいVAIO SX12・SX14 / VAIO Pro PJ・Pro PK(以下、VAIO SX12・VAIO SX14)のボディについて、どのような構造的進化があったかをお話ください。

メカ設計 長崎:従来のVAIO SX12・VAIO SX14ではカーボンファイバーの平板を天面に利用していたのですが、新モデルではそれを側面まで伸ばして曲げた形状にすることで、構造でも強さを出すようにしています。これによって従来のカーボン天板よりも軽くしつつ、同じ強度を保つことができました。我々はこれを「立体成型カーボン天板」と名づけています。

(左)従来天板、(右)立体成型カーボン天板

−−曲げて強度を出すというのはVAIO Zの「立体成型フルカーボンボディ」と同じ考え方なのでしょうか?

長崎:はい、考え方としては同じです。なお、それによってパーツの分割線を減らして見た目をスッキリさせることもできました。この側面の稜線R(角の丸み)がそのまま端面のオーナメントに繫がっていくところがデザイン上の見どころになっています。

−−そういえば、オーナメントの形状が今回大きく変わりましたね。

長崎:今回はそれぞれの部品の繋がりを強く意識したデザインになっており、それに伴いオーナメントの形状も従来のフラットなものからドーム状に変更しています。なお、このオーナメントには見た目のアクセントのほかに、カーボンの反りを抑え、セット全体の強度を高める意味あいもあります。

−−フラットアルミパームレストもヒンジ奥までのびていますね。

長崎:先代モデルまでは、ヒンジ部分がフラットアルミパームレストと樹脂製のボトムケース、吸気口フレームの合計3つのパーツで構成されていたのですが、新しいVAIO SX12・VAIO SX14ではフラットアルミパームレストをヒンジ奥部まで伸ばして曲げることで、吸気口フレームを見せない構造にしています。

−−これによって天板同様、見た目もスッキリしました。この加工にはどういった難しさがありましたか?

長崎:アルミにはカーボンほどの剛性感がないため、先代モデルでもフラットアルミパームレストのフチをわずかに折り曲げ、立体成型カーボン天板同様、構造で強度を高めるという工夫を施しています。ところが、今回のようにヒンジの奥までパームレストで覆うと、曲げたところのフチをさらに折り曲げるというかなり難易度の高い加工が必要になります。どうしても折り曲げ部分にシワができやすくなってしまいますし、ヘアライン加工もキーボード面とヒンジ奥部の2回に分けて施さねばなりません。ただ、苦労した甲斐あって、剛性の面でも見た目の面でも満足いく結果を得られたと思っています。ボトムケースの形状などはVAIO Zに近しい、よりスリムさを感じられる形状としました。

−−そのほか、本体を守る剛性の部分で工夫されていることがありましたら教えてください。

長崎:ディスプレイベゼル内部にエラストマー素材のクッションを追加しています。これによって側面落下時の耐久性がかなり向上しました。なお、エラストマーとは弾力をもった樹脂素材で、身近な所ではボールペンのグリップなどにも使われています。

−−あの柔らかい素材が衝撃を受け止めてくれるのですね。

長崎:はい。ただ、今回VAIOで採用したものはボールペンのグリップに使われているものよりはかなり硬めのものです。エラストマー素材にはさまざまな柔らかさのものがあるので、落下の衝撃を最も効率的に吸収してくれるものをトライアンドエラーで導き出しました。時間はかかりましたが、その効果にはかなりの手応えを感じています。

−−VAIOではそうやって向上させた堅牢性を品質試験という形で検証していますが、新しいVAIO SX12・VAIO SX14でも行っているんですよね?

長崎:もちろんです。ちなみに先代VAIO SX12・VAIO SX14の時は設計を大きく変えたこともあって、試験で判明した弱い部分を直して再挑戦する作業が発生しがちだったのですが、新モデルではそうした出戻りがとても少なく、想定通りの強度が最初から実現できていました。それは、先代モデルで蓄積したノウハウがあったからだと考えています。

その他の品質試験についてはこちら

−−品質試験と言えば、今回はシリーズ初のMIL試験*も実施しています。MIL試験への対応にどのような苦労があったのかも教えてください。

* アメリカ国防総省制定MIL規格(MIL-STD-810H)に準拠した品質試験

長崎:VAIOが自社で規定し実施している品質試験の方がMIL試験より厳しい部分も多かったりするため、MIL試験をクリアするために何か新しい対策を行ったということはありません。これまでの品質基準で充分にクリアできるだろうという自信もありました。

−−なるほど。MIL試験を実施したのは、より強度を高めるのが目的ではなく、これまでも充分な強度を持っていたことを別の方法でも証明するためなんですね。

ボディ全体の一体感を演出する新形状オーナメント

−−ここまでは主に堅牢性の向上のためのデザインについてお話をお聞きしましたが、ここからは見た目のデザインについて聞かせてください。この点において新しいVAIO SX12・VAIO SX14ではどのような進化を遂げていますか?

メカ設計 曽根原:前提としては、先代VAIO SX12・VAIO SX14の後継として正当進化させるというものがありました。その上で、VAIO Zのデザインテイストを盛り込んで、より魅力的なものにしていこうという、大きく2つの狙いでデザインを作り込んでいっています。

−−そうした中、従来モデルと比べて大きく変わったのがドーム状になったオーナメントです。先ほど長崎さんが「部品の繋がりを強く意識したデザイン」とお話していましたが、このあたりについてもう少し詳しく教えてください。

長崎:オーナメントについては、まず立体成型カーボン天板ありきで議論を始めています。立体成型カーボン天板の側面形状がそのまま繫がるような形にして全体的な一体感を演出することはすぐに決まったのですが、単に角を丸くしただけだと面白くない、お客さまの目に留まらないという話になりました。

−−当初は平板の四隅を立体成型カーボン天板の断面に揃えて丸くするくらいの変更を検討していたんですね。

長崎:そうなんです。それに対してデザイナーから提案されたのが、オーナメントをドーム形状にすること。今までのような端面がダイヤカットされた平板のオーナメントだと天面から続くフォルムがブツッと途切れてしまうのですが、ドーム形状であれば全体として一体感を持たせることができます。

オーナメントの表面処理を光沢にしたのもより一体感を高めるため。従来のヘアライン加工ではオーナメントに横のラインが生まれてしまうのですが、光沢ならそういったことがなく、モノとしての一体感を表現することができます。ただ、そこに至るまでは多くの試行錯誤がありました。

−−その試行錯誤について聞かせてください。

長崎:実は、最初はヘアラインも試したんですよ(笑)。ただ、やっぱり表現が潰し合ってしまうな、と。そこでVAIO Zのような半光沢の処理など色々なパターンを施策して比較しています。

−−すんなり光沢には決まらなかったんですね。

長崎:デザイナーは早い段階から光沢が良いと言っていたのですが、キズの付きやすい光沢のオーナメントは部品の管理がとても難しいため、量産という観点からは避けたいという思いがありました。

曽根原:ただ、やはり光沢以外のものでしっくりくるものがなく、最終的にはコストをかけてでも光沢のオーナメントに挑戦しようということになりました。これがベストだろうと。

長崎:なお、オーナメントについては製品ごとに色味を変えています。ファインブラックとブライトシルバー、ファインホワイトについてはアルミの素材を活かしたシルバーに、アーバンブロンズとローズゴールドについてはゴールドに染色したオーナメントを採用しています。

−−オーナメントだけでこれだけの作り込みが行われているんですね。

長崎:実はそれ以外にも細かいところで、さまざまな工夫をしています。例えばオーナメントに取り付けられているフットパーツですね。これは開いた時にオーナメントが机面と擦れてしまわないために必要なパーツなのですが、新しいVAIO SX12・VAIO SX14は180度開く構造になっているため、従来モデルと比べて広い範囲をカバーしないといけません。そこで少しでもこのフットパーツが目立たないように、クリアな素材を利用した上で、オーナメントに馴染むよう着色するなどしてします。

ビビッドな、それでいて深みのある色

−−オーナメントと並ぶ、VAIO SX12・VAIO SX14ならではの特長となっているフラットアルミパームレストについても聞かせてください。すでに剛性についてのお話はお伺いしているのですが、見た目の点ではどういったブラッシュアップが施されていますか?

曽根原:パームレストの素材に高輝度アルミニウムを採用し、従来モデルと比べて大幅に発色を改善しています。特にファインブラックについて、より深みのあるブラックが表現できるようになりました。

−−高輝度アルミニウムと聞くと、むしろ黒などは白っぽくなってしまうイメージがあるのですが逆なんですね。

曽根原:はい。従来の素材では表面に当たった光が乱反射して全体的に色味が白っぽくボケてしまう傾向がありました。対して高輝度アルミニウムはそうした乱反射が少ないため、色がよりクッキリと際立って見えます。

−−実際にどれくらい発色が良くなったのかを見せていただけますか?

曽根原:たとえばローズゴールド(従来モデルではピンク)だとこれくらい違ってきます。化学研磨時間(染色前処理のために薬品に浸けている時間)や染色時間は異なっているのですが、染料は全く同じです。従来モデルと比べてだいぶ鮮やかになっていますよね。

新旧モデルのフラットアルミパームレスト。上に置かれているのが新モデルのもの。

曽根原:最も大きな違いを感じられるのはアーバンブロンズ(従来モデルではブラウン)で、こちらも使っている染料は全く同じですが、これだけの違いがあります。もちろん、単に同じ染料を使っているというのではなく、それぞれデザイナーが意図する理想の色に近づけるべくさまざまな条件を試しています。

−−たしかにアーバンブロンズ(ブラウン)はまるで別モノですね! ファインブラックもたしかにより漆黒に近付いた感がありますし、ブライトシルバーも文字通り輝きが増しているように感じました。

曽根原:なお、色味以外では質感も少し変えていて、具体的にはヘアラインを少し細かくしています。反射を細かくし、表面処理でも乱反射を抑えることで発色の良さをより際立つようにしました。

環境にも配慮した新しい時代の美しさ

−−そのほかデザイン面で新しいVAIO SX12・VAIO SX14が取り組んでいることがありましたら教えてください。

曽根原:これはデザインとはあまり関係のない話なのですが、今回、ディスプレイベゼルを無塗装とし、厚みも約1.0mmから0.8mmにまで薄くしています。これによって塗料削減と材料削減から環境負荷のさらなる低減にも取り組みました。

−−ベゼルのパーツを薄く、無塗装にするのはそんなに難しいことなんですか?

曽根原:パーツを薄くするとどうしても成形ムラができてしまうのですが、それを塗装で隠すことができないという意味ではとても難しいですね。そこでまず、ベゼル形状を踏まえた特殊な金型の試作型検討と、同時に落下に耐えうるしっかりとした強度を持ち、かつ成形ムラの出にくい材料の検討を、繰り返し行うことで、何とか我々が望む品質のものに仕上げることができました。

−−なるほど。ほかに素材周りでの新しい取り組みはありますか?

曽根原:新モデルで使っている樹脂素材のうち、パームレストのフレーム樹脂素材を再生材樹脂に変更しています。実はこれまでも小さな部品では再生材を利用していたのですが、ここまで大きなパーツを再生材にしたのは初めての試みです。

−−やはり再生材というのは脆いなど品質面に問題があるのでしょうか?

曽根原:基本的な物性は変わらないのですが、やはり強度の点でやや劣るところがあります。そこで今回は落ちた強度を形状で補うなどしてバランスを取っています。

長崎:再生材を使うにあたって不安だったのが素材のばらつき。もちろんメーカーから提供されている仕様はあるのですが、そこにどれくらいの個体差があるのかは使ってみないと分かりません。そこでまずは小さい部品から使い始めて実績を作り、ある程度、特性が見えてきたということで今回大きな部品に採用することができました。

結果として、VAIO株式会社製のモバイルノートの中では最も多くの再生材を利用することができました。今後も、より多くの部分で環境負荷の小さな再生材を活用していけるようにしたいと考えています。

業界トップクラスの全7色カラーリング

−−昨今のVAIOでは恒例となっている「ALL BLACK EDITION」についても聞かせてください。今回は従来のALL BLACK EDITIONと比べていろいろな点が変わっていますよね。特に天板が純粋なブラックではなく、カーボンの繊維目を見せるファイバーブラックになったことが目を惹きます。

曽根原:今回、天面部分が立体成型カーボン天板となったことで、本体側面までカーボン繊維が走るようになり、それをきちんと見せたいというのが天面カラーリングを変えた一番の理由です。またオーナメントについても従来のものは黒く染色していましたが、今回はより光沢感のあるガンメタリックとしました。

長崎:なお、細かいところなのですが、先ほどお話ししたフットのパーツもクリアブラックにしています。

−−これらの変更によって従来のALL BLACK EDITIONとはかなり違う印象になりましたね。

そしてこれを含めると、新しいVAIO SX12・VAIO SX14の色数は基本の5色(VAIO SX14は4色)、そしてALL BLACK EDITION、勝色特別仕様の計7色となります。これは今どきのノートPCとしてはかなりカラーバリエーションが多いと思うのですが、そこにどういった狙いがあるのかをお聞かせください。

曽根原:たしかに今、周りを見渡すと、VAIOほど本体カラーバリエーションを充実させているPCメーカーはほとんどありません。しかし、なればこそ、お客さまが自分らしい色を選んでいただけるように、カラーへの強いこだわりを継続していくべきだと考えています。

−−豊富なカラーバリエーションもVAIOの特長の1つと言うことですね。ちなみにお二人はどの色がお気に入りでしょうか?

曽根原:私はアーバンブロンズですね。高輝度アルミニウム素材を使った効果がもっともはっきりしていて、それでいて落ち着き感もあって気に入っています。従来のブラウンは30~50代のユーザーから支持されているのですが、新しいアーバンブロンズは20代くらいの若い人、たとえば学生さんが使ってもかっこいいのではないかと思っています。

長崎:私はファインホワイトが気に入っています。ホワイトは以前のモデルにも存在したのですが、従来とは全く別モノの新鮮感があると思いませんか? 新しいVAIO SX12・VAIO SX14の立体成型カーボン天板の側面まで継ぎ目無く覆うデザインとの相性がすごく良いんです。清潔感のある明るい白に仕上がっているため、男女問わずお使いいただけると思います。

曽根原:製品デザインのまとまりの良さ、発色の良さは一目見ていただければ分かると思いますので、ぜひ店頭で新しいVAIOのデザイン、カラーリングをご確認ください。

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