開発ストーリー Vol.3 VAIO S11
商品企画担当
商品企画部
黒崎 大輔
ビジネスユニット3
プロダクトマネージャー
花村 英樹
ビジネスユニット3
メカ二カルプロジェクトリーダー
曽根原 隆
ビジネスユニット3
エレクトリカル
プロジェクトリーダー
細萱 光彦
VAIOを作っている我々自身が
まず「日本のビジネスマン」なのだ
日本のビジネスマンのためのPC=「ビジネス全方位モバイル」として企画されたVAIO S11。それを作ったのはもちろん、日本のビジネスマンであるVAIOのエンジニアたち。自分たちが働いている中で本当に必要なものは何なのか、それを内省していくことからVAIO S11の開発はスタートしています。
まずどうしても載せなければならないと考えたのがVGA端子です。これはそもそも法人ユーザーを中心に要望の多い項目だったのですが、VAIO Pro 11などでは薄型化を優先した結果、これをカットしてしまっていました。ワールドワイドでのニーズがさほどでないことも、PC市場全体でのVGA端子省略の流れを加速させています。
「しかし、例えば我が社の場合、会議室のプロジェクターもテレビ会議システムもオールVGA。何よりもまず、自分たちがVGA端子を必要としていたんです。そして、そういう会社は思っている以上に多い。VAIO S11が日本のビジネスマンのためのPCと名乗るのであれば、これは外せないだろうと考えました」(黒崎)
同様にして、多くのオフィスでWi-Fiが普及する中、有線LAN端子搭載も敢行。混み合った会議室でWi-Fi接続が不安定になりやすい、出張先のホテルに有線LANしか用意されていないことが多いなどという声に応えています。
どちらも端子サイズが大きいためモバイルノートへの搭載は難しかったのですが、使用時に本体底部が持ち上がるチルトアップヒンジ構造によってこれを解決。端子よりも一回り大きなコネクタ部が机などと干渉するのを防ぎました。
そしてそれに加えて、これらレガシーポートとは真逆の最先端「USB Type-C™」端子も搭載。今後はともかく、現時点ではまだ搭載事例のほとんどない最新鋭インターフェイスを一足早く採用しています。もちろんこれはVAIO史上初。
「VAIO S11は基本的にモバイルで活用することを前提に考えていますが、もちろんオフィスや自宅で使うことも多いですよね。その際、より快適に作業するためディスプレイやキーボード、マウスなどをまとめてケーブル1本で繋げるようにしたかったのです。コンパクトなモバイルマシンにあえて載せる必要はないのではないかという声もあるのでしょうが、私自身はVAIO S11のサイズだからこそ、USB Type-C™が必要だと考えました。S11は市場に先んじてUSB Type-C™を搭載しましたので、USB Type-C™対応の周辺機器が豊富に出揃い、我々が描いたシーンが早く実現される事を望んでいます。」(花村)
USB Type-C™を利用した周辺機器接続イメージ
もちろんパフォーマンスも重要な要素の1つ。VAIO S11では最新の第6世代インテル® Core™プロセッサーを搭載するほか、従来SSDより高速な「PCIe対応第二世代ハイスピードSSD」を選択可能にするなど、この点での「快」も妥協せずに追求しています。 「高性能を追求する際に怠ってはならないのが排熱。内部に熱がこもってしまうとCPUが低速モードに切り替わって動作スピードがガクンと落ちてしまうんです。今回のVAIO S11ではそういうことが起こりにくいよう、エアフローの最適化をとことん追求しています。従来のVAIO Pro 11では美観とのバランスを取るのに苦労したのですが、今回はビジネスマシンということもあって、これまで以上にパフォーマンス維持を優先しました」(曽根原)
また、ビジネスマシンに求められる要件の1つとして重視されているボディの剛性についても、国内トップレベルを目指して開発が進められました。本体底面にシンメトリーに配置されたビスなどのほか、多くの工夫によってラフな持ち歩きなどに耐えるタフさを実現しています。
「強度を高めるためにバッテリーの中心部にビス穴を通すなど、これまではあまりやらなかったことも積極的に行なっています。ボディ素材が金属から樹脂になって剛性が落ちるのではないかと不安に思う人もいそうですが、むしろ樹脂製になったことでボディ内側にはたくさんのツメを作ってガッチリかみ合わせられるなど、ある面ではこれまで以上に頑丈になっているんですよ。もちろんVAIO名物である“ペン挟み”試験もクリアしています。こればっかりはやってみないとわからないところもあったので、内心ヒヤヒヤしていたのですが(笑)」(花村)
「ボディ剛性は筐体を厚くしたり形状を追加したり手を入れれば入れるほど強くなるのですが、それは同時に重量増も意味します。その点、VAIO S11はこれほどまでの頑丈さを実現しつつ、重量は約920~940g。これまでのVAIO同様、薄さ、軽さも諦めていないというところも忘れないでほしいですね」(曽根原)
もちろん気になるバッテリー駆動時間も大容量バッテリー搭載と徹底した省電力化によってVAIO史上最長の約約15時間をマーク。しかも電力消費が劇的に大きくなるLTE通信時でも約8時間の駆動を実現しました。オフィスや自宅と同じようにインターネット常時接続で利用しても、充電せずにフルタイム使えるのです。
「実は何より重視していたのは後者。VAIO S11はモバイルインターネットのためのPCですから、その状態で8時間使えることを目指しています。LTE非接続時の約15時間という数値はその副次的なもの。ちなみにこれらの成績はベンチマークアプリを使って測定したものなのですが、実際に東海道新幹線で東京から大阪に向かい、それから大阪環状線をぐるりと一周するなど合計約3時間の滞在後、東京に戻ってきてもバッテリーは約10%強残っていました」(細萱)
日本のビジネスマンが本当の意味で必要するものは何か? その疑問と向き合うことで生まれたVAIO S11。現場の声が、この製品を生み出しました。
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