開発ストーリー Vol.1 VAIO S11
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商品企画担当
商品企画部
黒崎 大輔
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ビジネスユニット3
プロダクトマネージャー
花村 英樹
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ビジネスユニット3
メカ二カルプロジェクトリーダー
曽根原 隆
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ビジネスユニット3
エレクトリカル
プロジェクトリーダー
細萱 光彦
「SIMフリー」というムーブメントは、VAIOにとって新しいチャンス
VAIO S11がメインターゲットとするユーザーは、外回りの多いビジネスマンや、家の外でもPCを使う時間が長い大学生。仕事あるいは勉強で使うPCは常時インターネットに繋がっていることが大前提ですから、まずはその点を何とかしなければなりません。
ほとんどのスマートフォンがテザリングに対応している昨今、あえてPC自体にモバイルデータ通信機能を持たせる必要はないのではないか? そう考える人も多いことでしょう。しかし、その接続時にかかるわずかな手間をVAIOは嫌いました。時間にしてたった数十秒程度でも、そのわずかなロスタイムが「やる気」や「創造性」を損なうと考えたのです。
VAIO S11をLTE対応、それもSIMフリー仕様とすることは企画の初期段階で決まっていました。ただしそれはゴールではなくスタート地点。「大切なのは、それが国内のネットワークに最適化されていることです。VAIO S11では、同じモバイルデータ通信サービスを使っていても、他社製品より快適に使えることを追求しました」(花村)。
ではそのために必要なものは何なのでしょうか?
まず、何よりこだわったのがアンテナの感度。日本国内は新幹線に代表されるように高速移動手段が発達しています、更に高層ビル群、山間部のトンネルなど、モバイル通信機器にとって、厳しい通信環境にあると言えます。そこでVAIO S11では11.6型液晶パネルに合わせたコンパクトボディにLTEとWi-Fiのメイン/サブ、計4基のアンテナを内蔵していますがそれぞれのアンテナが十分なパフォーマンスを発揮できるよう、最適な配置を見つけだしています。
「スマートフォンなどで使っている小さなアンテナを利用するというやり方もあるのでしょうが、それでは思ったような速度が出せません。本体サイズを犠牲にせず、モバイルPC向けとしては最も大きなアンテナの内蔵にこだわり、これを実現しました」(細萱)
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その受信感度の違いは上表の通り。なお、一般的なモバイル機器ではこういった受信感度の測定・チューニングには電波暗室と呼ばれる外部からの影響を遮断した部屋を使うのですが、VAIO S11ではそれに加えて本社・安曇野にほど近い山中でのフィールドテストも実施。「多くの電波が飛び交う都市部では実回線における客観的な受信感度比較が難しいのですが、本社近くに奇跡的に特定の基地局の電波しか届いていないスポットがあったため、より的確な評価測定ができました。これもまた安曇野で開発を行うメリットのひとつかもしれませんね(笑)」(細萱)
そしてその上で従来VAIOのモバイルノートと大きく異なっているのが、本体外装素材を金属から樹脂に変更したこと。金属は電波を遮断してしまうため、これを樹脂に変更することは、受信感度を高めるためには最も効果的な手段の1つと言えるでしょう。
「細かいところなのですが、塗装の組成も見直しました。塗料に含まれる金属粉が通信性能を阻害するため、デザインカラーの再現性を含め、細かく金属粉を調整し、より安定した通信性能を確保しています」(曽根原)
樹脂製ボディには電波を効率よく受信できるようになる反面、本体内部のノイズを遮断できなくなるという副作用もあるのですが、それについても万全の対策を実施。基板上に金属のシールドを装着することでその悪影響を最大限抑えることに成功しています。
「メモリから発生するノイズがちょうどLTEで利用する帯域と同じものなので、この妨害ノイズを一つずつ、漏れなく丁寧に抑え込む事が肝要なんです。ここに手を抜くと通信速度が大きく低下してしまいます。そこでもVAIO S11では基板上にシールド固定用のツメを緻密に配置して埋め込んでノイズの発生源をしっかり覆っています。 PC基板にノイズシールドの処置をするのは、設計上の負担も大きいのですが、やりきる事ができました。」(花村)
そして、海外製グローバルモデルと大きく異なっているのが、日本のLTEネットワーク環境、具体的にはNTTドコモの使っている主要4バンドに対応させたこと。特に都市部のビルの谷間や山間部での受信感度を大きく左右する「プラスエリア」(バンド19)は海外製ハードウェアでは対応していないことが多いためVAIO S11の大きなアドバンテージになっていると言えるでしょう。
さらに、より多くのユーザーにLTEを快適に活用していただけるよう「VAIOオリジナル SIM」の販売も決定。メールやメッセンジャーの待ち受けに充分な最大通信速度200kbpsで常時接続しつつ、ここぞという時には高速通信モード(最大通信速度150Mbps/使用可能量上限あり)に切り替えられるようにしています。専用アプリで動作モードを即座に切り替えられるようにしているのも使い勝手を高めるための工夫の1つです。
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「ビジネスパーソンが経費で購入する場合も精算しやすいよう、1年単位のプリペイド式としたのもポイント。プリンタのインクのような消耗品を買い足すイメージで導入していただければ。また、一般的な格安SIMでは毎月使いきれなかった高速通信モードの使用可能量が無駄になってしまうのですが、VAIOオリジナル SIMではこれを年単位で好きな時に使っていただけるようにしました。これなら月によって通信する量が大きく異なるという方にも無駄なくつかっていただけるはずです」(黒崎)
もちろんSIMフリーですから、ユーザーが好きなサービスを選んでそれを利用することも可能です。「学生さんが自宅でも使いたい場合など、VAIOオリジナル SIMより適切なサービスがある方もいらっしゃるでしょう。もちろんそういった使い方も大歓迎。NTTドコモの通信網を利用したサービスならどれでもそのポテンシャルを十全に引き出せるように作っています」(黒崎)
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ハードウェアはもちろん、サービスまで含めて、モバイルインターネットの「快」を追求したVAIO S11。ヘビーモバイラーはもちろん、これまでLTE内蔵PCを使ったことがないという方にも手にとっていただきたいと考えています。
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物語のある製品をつくる。
開発ストーリー プロローグ VAIO S11 昨年末、VAIOのラインナップに11.6型ディスプレイを搭載した全く新しいモバイルマシンが加わりました。その名も「VAIO S11」。かねてより「レスポン…
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