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アタシのVAIO Phone Aが大ピンチ!
工場見学に行ったら超ハードな
耐久試験に突入した件

落下、衝撃、高温、粉じんに耐えるSIMフリースマホの実力を“体感”

text by 日沼諭史 ※ケータイ Wacth (2017/05/01 掲載)より転載

やってきたぞ、VAIO安曇野工場!

やってきたぞ、VAIO安曇野工場!

4月7日に発売されたSIMフリーAndroidスマートフォン「VAIO Phone A」。前回紹介したとおり、アルミ削り出しによる高いデザイン性と、デュアルSIM・デュアルスタンバイ(DSDS)対応の良好な使い勝手、さらにはキャリアアグリゲーションとVoLTEの高速通信&高品質通話という、3拍子も4拍子もそろった端末なのだが、それだけではなく、筐体の耐久性にもこだわっているのだとか。

その耐久性をはじめ、製品としての品質をチェックしているのが、パソコンを含むVAIOシリーズの生産や品質管理を行っている長野県の安曇野工場。VAIO Phone Aの場合、製造工程上の一般的な検査、動作検証、パッケージングは、パソコンで培った技術力とノウハウを活かし、「安曇野FINISH」として品質の高さをアピールしている。が、それとは別の工程で、設計どおりの耐久性を保持しているかどうかを確認する品質試験も行っているのだ。

では、さっそく安曇野工場の内部に潜入して、実際の品質試験の現場を見てみよう。

さっそく工場内部へ潜入だ!

いきなり「180cm 落下試験」が開始!

東京は新宿から特急あずさ号に乗り、トータル4時間かけてやってきたVAIOの里、安曇野。「VAIO」の石碑が目を引くこの安曇野工場では、VAIO Phone A(とビジネスユーザー向けWindows 10 Mobile搭載VAIO Phone Biz)の最終検査工程とパッケージング、そして今回拝見する品質試験を行っている。

とその前に、エアシャワーで全身に付着しているホコリを取り除く。もちろん靴も専用のものに履き替え済み

VAIO Phone Aに対する品質試験は合計で数十もの種類があるそうだけれど、さすがにすべてを一つひとつ紹介するにはスペースがいくらあっても足りないので、それらのなかでも特にインパクトの強い、ありていに言えば「ヤバイ」試験内容に絞って見学していくことにした。

と思ったら、なぜか筆者の懐にあったマイVAIO Phone Aを、担当編集者がなんだかんだで取り上げて、工場の人の手によりあれよあれよという間に「180cm 落下試験」用の機材にセット。試験用の端末を用意してるんじゃないんかーい! と突っ込む間もなく、マイVAIO Phone Aは容赦なく床の鉄板に叩きつけられた。

身長計のような「180cm 落下試験」用試験機

  • 気がついたらマイVAIO Phone Aがセットされている

  • 高さはきっちり180cm

動揺を隠しながら解説すると、この「180cm 落下試験」は、ユーザーの日常使用における落下トラブルを想定した試験。一見すると身長計のようなポールに、独自の治具でVAIO Phone Aを床から180cmのところで固定する。その後、スイッチ操作で治具とともにほとんど自由落下させ、着地寸前のところで自動で治具から解放し、床に設置された鉄板へ一定の角度で衝突させるというもの。表面、背面、上下側面、左右側面の計6方向から同じように落とし、内部のデータに致命的なダメージを受けていないことを確認する。

大人の男性が通話中にスマートフォンを取り落とす、というシチュエーションでは、最悪でもほとんどが180cm以下からの落下になるはず。ましてや画面を見て操作している時、ポケットやカバンに入れて持ち運んでいる時なんかは、180cmよりずっと低い位置からの落下となるだろう。そういう意味では、この180cmからの落下に耐えることができれば、一般的な日常使用でのあらゆる落下に対応している、と言えることになる。

ただし、あくまでも「データがダメージを受けていない」ことを検査するもので、「筐体や画面が破損する」ことはありうる。液晶画面側からいきなり落下したマイVAIO Phone Aはなんとか無傷で生還したが、読者のみなさんはくれぐれもマネしないでいただきたい。

一瞬で落下完了。でもなんとか端末は無事だった

一瞬で落下完了。でもなんとか端末は無事だった

5000回×4の「角衝撃試験」と、PC用電源ケーブルが外れる勢いの「衝撃試験」

まさかマイVAIO Phone Aを実際の品質試験にかけるとは思っていなかったので、次の試験内容に移るのが怖くなってきたのだが、今度は端末の四隅を何度も何度も鉄板に打ち付ける「角衝撃試験」と、一定の角度を維持したまま落下させる「衝撃試験」を“体験”する。

「角衝撃試験」の試験機にセットされたマイVAIO Phone A

「角衝撃試験」の試験機にセットされたマイVAIO Phone A

「角衝撃試験」は、VAIO Phone Aを独自の治具で試験機に固定し、四隅の1カ所ごとになんと連続5000回、およそ5cmの高さから一定角度、一定ペースで自由落下させ、衝撃を与え続けるものだ。

実際には治具の重さ(数百グラム)もあるため、端末の自重の数倍の慣性力によって角に衝撃が加わる。その衝撃は、かかった圧力に応じて変色する特殊な計測用シートで確認すると、濃いマゼンタとなるおよそ50kgf/cm。筆者が力一杯デコピンしてもうっすらピンク色に変わる(10kgf/cm)程度なので、その衝撃の強さは推して知るべし、である。「180cm 落下試験」に次いで「地味にハード」と品質試験の担当者が話していたのも納得だ。

  • いったん持ち上げられ……

  • 落下!

  • 圧力によって変色するシートに当ててみると、ご覧のとおり

  • このマゼンタ色は50kgf/cmに近い

一方、「衝撃試験」は、治具で試験機に固定されたVAIO Phone Aを、一定の高さから一定の速度で治具ごと落下させるというもの。こちらも「180cm 落下試験」と同じく、表面、背面、左右側面、上下側面の6方向から行い、内部回路に問題が発生しないかを確認する。

今度は「衝撃試験」の機材にセット。脇に結びつけられているのはパソコンのACアダプター

写真や動画を見てもどれくらいの力が加わっているのか判然としないけれど、衝撃の瞬間に脇に吊しているパソコン用ACアダプターのケーブルが抜け落ちているのを見れば、着地時にただごとではない衝撃が発生しているものと推測できるだろう。

落下! ACアダプターがケーブルから抜けてしまうほどの衝撃

落下! ACアダプターがケーブルから抜けてしまうほどの衝撃

もちろん、この試験にもマイVAIO Phone Aが果敢に挑んだ(勝手にセットされた)。「角衝撃試験」はさすがに時間の都合上5000回とまではいかないが、数十回の衝撃には見事耐え切り、「衝撃試験」も動作には影響がなかった。あまりの健気さに、ますますマイVAIO Phone Aが愛おしくなってきそうである。

お尻の下敷きを想定した「加重試験」と、通勤ラッシュを想定した「加圧・振動試験」

マイVAIO Phone Aの受難はまだまだ続く。今度は、「加重試験」と「加圧・振動試験」だ。「加重試験」では、スティックの先端を寝かせた端末に押し当て、一定の力で5秒間、ピンポイントで荷重を加える。これを表面・背面それぞれ5回ずつ繰り返す。ユーザーがVAIO Phone Aをズボンのお尻ポケットに入れ、その状態でイスに座ったりする場面を想定した試験となっている。

「加重試験」を開始。ハンドパワーで動かす……わけではない

VAIO Phone Aはアルミ削り出し筐体を採用していることもあって剛性が高いため、荷重が加わってもあまり変化があるようには見えない。が、たとえばプラスチックのCDケースを試験機にかけると、今にも割れそうなくらいたわむことがわかる。VAIO Phone Aは、たとえそれだけの荷重が加わっても折れ曲がって破損することはなく、動作にも影響しない耐久力をもっているのだ。

  • 試験機にセット

  • 荷重により、ディスプレイガラスがわずかに歪んでいるのがわかるだろうか

  • もちろん背面からも行う

  • どれだけ荷重がかかっているのかわかりにくいかもしれないので、CDケースで同じ力をかけたところ。割れそう……

加重試験と少し似ているところもあるのが「加圧・振動試験」。こちらは、やはり独自の計測用治具を使い、寝かせた端末の上から150kgの力で押さえつけたうえで振動を与えるもの。ハンドルをくるくる回してぎゅぎゅっと挟まれるVAIO Phone Aを見ているだけで、こちらの心もぎゅぎゅっと締め付けられるようだ。

「加圧・振動試験」に使う、加圧用の独自治具

想定しているのは、通勤ラッシュの混雑した電車内で隣に立つ人から圧迫されるシチュエーション。圧迫された後でも問題なく動作するか確認する。実際に検証スタッフがリュックに計測器を入れて満員電車に乗り込み、たっぷり圧迫された結果が100kgだったらしく、さらに安全マージンを見積もって最終的に150kgで試験を行うことになったのだとか。

  • マイVAIO Phone Aをもはや自然にセット

  • 力を込めてハンドルをぐるぐる回し、鉄板を下ろしていく

  • サイドに取り付けられている目盛りを参考に150kgまで挟み込む

  • わずかに150kgを超えているような気もするが、もちろんVAIO Phone Aは無事だった

今回は機材と時間の都合上振動はさせず、加圧試験のみとなってしまったが、これもマイVAIO Phone Aは難なくクリア。愛おしさを通り越して、かわいいコに思わず意地悪したくなっちゃう小学生のような気分になってくる。さあ、もっとやろう。

リアルな成分に自信。1年分のホコリをすぐに蓄積する「粉じん試験」

あらゆる部分にこだわり、リアルさを突き詰めたと担当者が自信満々に語ったのが、「粉じん試験」。大きめの3Dプリンターのような雰囲気の、透明なアクリルで密閉された空間にVAIO Phone Aをセットし、ボタンをポチッっとするだけで、2時間で1年間分のホコリが蓄積されるというもの。特許も取得しているという。

こだわりの成分が含まれたホコリにまみれさせる「粉じん試験」

ホコリの成分は詳しくは企業秘密だが、家庭の寝室で舞っているようなホコリに限りなく近づくよう研究を重ねたという自慢の一品。これを、単純に吹き付けるのではなく、長期間使った時と同様に機器の奥まで侵入するよう、一度ホコリを振り払い再び吹き付ける、といった動作上の工夫も施し、効率的な粉じん試験を行えるようにした。

あっという間にホコリだらけ

VAIO Phone Aのようなスマートフォンの場合、そもそも隙間が少ないため筐体内に粉じんが入り込む余地は少ないが、それでもイヤフォンジャックやUSB端子、SIMスロットなどから侵入する可能性はゼロではない。試験後には音声出力や充電、データ通信に影響がないか、端末の奥の方まで入り込んでいないか、といった点を分解して確認しているそうだ。 粉じん試験機にセットされたマイVAIO Phone Aは、ほんの数分でホコリまみれ。もちろん動作に影響は一切なかったのだが、見事なまでの汚れっぷりに筆者はドン引きである。

すごい……ホコリまみれです……

  • めっちゃ積もってるし

  • なんかイヤです……動作してるけど……

劣悪な船便も再現可能な「高温・高湿度試験」

最後は「高温・高湿度試験」。下はマイナス40度から上は100度まで自在に室温を変えられ、さらに高湿度も実現できる試験ルームを利用して過酷な環境を作り出す。VAIO Phone Aに対しては、室温65度・湿度90%の保存試験、および室温40度・湿度90%の動作試験を実施している。

「高温・高湿度試験」を行う試験ルーム

「高温・高湿度試験」を行う試験ルーム

65度・90%というのは、赤道直下を航行するかつての輸送船の船底に近い環境とされている。現在の輸送船はある程度空調も整備されているようだが、これをクリアしているということは、いわばそんな劣悪な環境下でVAIO Phone Aが輸送されたとしても、その後何の問題もなく使えるということを意味する。

  • ごく自然な流れで中にセットされたマイVAIO Phone A。充電中

  • 動作試験はこんな風に手を入れて操作する。この時点で手だけが明らかに酷暑

そんなわけで実際にその試験ルームに入ってみたが、40度・90%でも、服を身につけていることもあってただただ「不快」。サウナよりも凶悪な、まとわりつくような熱気と湿気に、人間の方が先にギブアップである。とてもスマートフォンを使いたくなる環境ではない。

40度・90%に設定された室内に入ってみる

  • ナニコレ……

  • 暑くて不快なのは当然として、曇って前が見えません

ちなみに、試験は充電しながら行っていたが、その際に使用していた製品付属の充電器と充電ケーブルももちろんVAIO Phone A本体と同じ高温・高湿度対応品となっている。ただし、電源タップはVAIO Phone Aとはまったく無関係な製品で、高温・高湿度対応ではない。しばらく使うと「正しく壊れる」ため、定期的に購入し直しているのだという。

インパクトは強いが、実用に即した試験内容

このほかにも、VAIO Phone Aでは「90cm高からの液晶面500g鉄球落下試験」や「120cm高からのコンクリートブロック角への液晶面落下試験」、さらには液晶画面への100万回×16箇所タッチ(打鍵)試験など、多様な試験を実施し、そのすべてで設計どおりに耐えることを確認している。

  • ほかにも、このようにパソコンの打鍵試験と同じような形で、ひたすらタッチ操作を繰り返す試験があったりする

    ほかにも、このようにパソコンの打鍵試験と同じような形で、ひたすらタッチ操作を繰り返す試験があったりする

  • 3kgの鉄アレイを乗せて引きずる試験も、パソコンでは行っているという

    3kgの鉄アレイを乗せて引きずる試験も、パソコンでは行っているという

「500g鉄球落下試験」はある意味「壊すための試験」であり、さすがに今回は試さなかったが、その目的は「ディスプレイ面が破壊されてもガラスが飛散しない」ことをチェックするためのもの。床に置きっぱなしにしたVAIO Phone Aを誤って子どもが踏みつけてしまっても、ディスプレイガラスで足を切ったりしないように、という考えから設定された試験内容だ。

  • 鉄球が……

    鉄球が……

  • ガラス面に落下!(シミュレーション)

    ガラス面に落下!(シミュレーション)

どの試験も(実施最中の様子は地味だが)インパクトの強い内容で、「やり過ぎでは?」と思ってしまいたくなる。しかしその実、家庭での使用中にあり得るアクシデントをしっかり想定、網羅した、実用に即した試験であることがわかる。

何度も鉄球をぶつけるなどした端末はこんな状態に

試験には大きなコストがかかっていると思われるが、担当者は「それがVAIOとしての品質だから、譲れない」の一言。同社が長年のパソコン開発で蓄積してきたデータから、エンドユーザーの使い方、エンドユーザーの視点に徹底的に寄り添い、最適な試験手法を編み出すことで、VAIO Phone Aは安価でも高い耐久性を実現しているわけだ。ここまで聞くと、かえって慎重に扱いたくなるのではないだろうか。

(2017年5月31日掲載)

VAIO Phone A

Android™搭載 SIMフリースマートフォン

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