VAIO x MEDIA
どこに置いてもサマになる、
良デザインの「VAIO Phone A」
デュアルSIMにも対応で、これでホントに2万円台!? な実用性あふれるAndroidスマホ
text by 日沼諭史 ※ケータイ Wacth (2017/05/01 掲載)より転載
VAIO x MEDIA
デュアルSIMにも対応で、これでホントに2万円台!? な実用性あふれるAndroidスマホ
text by 日沼諭史 ※ケータイ Wacth (2017/05/01 掲載)より転載
仕事やプライベートのどんなシーンにも似合う「VAIO Phone A」
MVNOと格安SIMというトレンドに合わせ、それと相性の良い格安スマートフォンと呼ばれるSIMフリー端末が注目され始めて幾年月。最小限の機能を備えただけのものから、最新テクノロジーてんこ盛りのハイエンドまで、これまでにそれこそ無数のSIMフリー端末が世に出てきた。
最初はとにかく「安ければいい」という風潮があったように思うけれど、徐々に「安くても質のいいものを」あるいは「そこそこの値段で満足感の高いものを」という意識をもつユーザーも増えてきたのではないだろうか。「質がいいのに安価」な端末は、おそらくメーカーの涙ぐましい努力の賜なのだろうと考えると、感謝の気持ちしかない。
ブラッシュアップされた後継機種も各メーカーからたびたびリリースされ、いよいよ成熟期に入りそうなSIMフリー端末市場。しかし、ここへきてなお「すごく質がいいのに安価」な端末が現れた。しかも日本メーカーで国内工場仕上げというのだから驚きだ。「VAIO Phone A」。つい先日会社を設立し、新たなスタートを切ることになった筆者の新しい相棒として付き合ってもらうことにした。
新事務所にさりげなく置いたVAIO Phone A
VAIO Phone Aは、2017年4月7日に発売されたAndroid 6.0搭載スマートフォン。およそ1年前に登場し、OSにWindows 10 Mobileを採用するビジネス向け端末「VAIO Phone Biz」をベースとしたもので、ハードウェアはほぼそのままに、OSを変えてコンシューマー向けのSIMフリー端末として生まれ変わった。性能は変わらず名前が変わった、という意味では、筆者の状況と似ていると言えなくもない。
それはさておきVAIO Phone Aは、オクタコアのSnapdragon 617、メモリ3GB、ストレージ16GB、5.5インチフルHDディスプレイを搭載するミドルレンジ端末だ。1年前からそのままのスペックとはいえ、まったく時代遅れではないし、実際の動作も十分にきびきびしている。長い間使い続けて大量のアプリをインストールしていったら、もしかすると不満に感じるところも出てくるかもしれないけれど、それは他のハイエンド端末も似たようなものだ。
やや大きめの5.5インチサイズ。ちょっと電源ボタンに指が届きにくい点だけ気になるかな、というところ
ところで、VAIO Phone Aの一番の魅力は何かというと、やっぱり外観デザインだろう。今や前面はディスプレイが大部分を占めるようになり、側面と背面でしか個性を出しにくくなったスマートフォン。そんな制約のなかでいかにして作り込むかが、ある意味最近のスマートフォン開発における腕の見せ所になっているわけだけれど、VAIO Phone Aはそのアルミニウムボディを、分厚い1枚のアルミ板から削り出すという贅沢な作り方をしているのが最大の特徴だ。
手に持った時は歪みのないカッチリとした剛性を感じられ、仕上げにブラスト処理を行っていることで、サラサラとした手触りが一段と質感を高めている。レーザーで刻印されたキリッとした背面中央のVAIOロゴも所有感をくすぐる。なんとなく日本のクラフトマンシップみたいなものを感じる、ような気がする。
背面のレーザー刻印。くっきりしたロゴが所有感をくすぐる
細かいところだけれど、スピーカーが仕込まれている部分の穴にも注目したい。通常、塗装した場合は小さな穴の周辺に塗装だまりができてしまいがちで、そこだけ盛り上がっているように見えたりするものだが、ブレなくきれいに仕上がっているのはやはり削り出しならでは。“削り出し”というとなんとなく角のあるゴツい印象をもってしまうものの、VAIO Phone Aはカメラレンズの周縁部や側面を適度に糸面取りしていて、優しい持ち心地になっているのもうれしいところ。
スピーカー付近の美しい穴開け加工
カメラレンズ周縁や側面の糸面取りのおかげで、鋭さのない優しい持ち感に
ボディカラーはシルバー1色とはいえ、プライベートとビジネス、どちらの用途で使っていても違和感のないカラーリングだ。筆者の新事務所に置いておいても、カフェでも、プライベートで出かけた自然の景色のなかでも、どこに置いてもサマになるのは、シルバーという色だけでなく、削り出しアルミの質感と細部の丁寧な加工によるところも少なくないと思う。
仕事場でも似合うし
緑道のベンチに置いた雰囲気もいい
カフェだとちょっとドヤれそう?
神社を背景にしても……普通か
まあ、そうはいっても、デザインが良いだけではさすがに選ぶ理由の決定打にはなりにくいのも事実。したがって、機能・性能においても、引きつけられるところがもちろんある。まず1つめが、デュアルSIM対応だ。
個人的にも最もうれしいデュアルSIM対応。nanoSIMとmicroSIMの2枚を同時にセットできる
正確には、VAIO Phone Aは「デュアルSIM・デュアルスタンバイ(DSDS)」に対応している。2枚のSIMを同時に挿入して、両方のSIMの電話番号で同時に待ち受けることが可能なのだ。たとえば仕事とプライベートで分けるためにスマートフォンを2台持ちしているなら、両方のSIMをVAIO Phone Aにセットしておくことで、スマートフォン1台で両方の番号にかかってきた電話を受けることができる。
設定画面でSIMごとに有効・無効をオンオフできる
もしくは、一方を通話専用SIM、もう一方を格安のデータ通信専用SIMにして、月々の料金をできる限り抑えながら利用するということもできる。海外出張の多い人なら常に国内用と国外用のSIMを入れっぱなしにしておき、SIMの抜き差しの手間なしに(設定画面からのSIMのオンオフだけで)スムーズに使いこなすことも可能だ。
筆者の場合は大手キャリアのSIMと格安SIMの2回線を常にもっているので、この2つをVAIO Phone A 1台にセットするという使い方を試しているところ。大手キャリアのSIMは通常使っている電話番号なので、基本はこちらで通話もデータ通信もするのだが、月末近くなると高速データ通信の容量上限を超えることもあるので、そういう時はもう1つの格安SIMにサクッと切り替えてみようと思っている。
データ通信はどちらのSIMを使うのかあらかじめ選択する
電話発信に使うSIMもあらかじめ選択しておく。待ち受けは両方同時に可能だ
VAIO Phone Aはフツーにメイン端末として使えるのだが、それというのも、キャリアアグリゲーション(LTE-Advanced)とVoLTEに対応しているのも大きい。キャリアアグリゲーションの最大理論転送速度225Mbpsという余裕のある帯域は、普段はそれほど意識しないとはいえ、Web閲覧、アプリやデータのダウンロード、SNSへの投稿なんかをストレスなく実行する助けになってくれていることは間違いない。
通話音声をくっきり聞き取れるようにするVoLTEも、耳が慣れた今となっては、いわば当たり前の音質のようになっている。時々電話をかけた相手・かかってきた相手がVoLTE非対応だったりすると、明らかに聞き取りにくくてストレスに感じてしまうくらいだ。高速通信とVoLTEはもう必須、という筆者のような人に対しても、VAIO Phone Aは満足のいく性能を発揮してくれるはずだ。
「HD」マークが表示され、しっかりVoLTEで通話できていることがわかる。聞き取りやすさは、電話としては一番重要なポイント
デザイン、使い勝手、通信速度、通話品質という4つのポイントを高い次元で成立させたSIMフリー端末のVAIO Phone Aだが、それらに加えて耐久性にもこだわっているようだ。連続的に角から落下させる試験、180cmの高さからの落下試験、コンクリートブロックの角へのディスプレイ面落下試験、ディスプレイへの鉄球落下試験といった厳しいテストをクリアしているそう。単にデザイン性を優先させた端末ではないようだ。
そこまで品質にこだわりながら、直販サイト「VAIO STORE」では2万6784円というとってもリーズナブルな価格設定。この値段で本当に耐久性とか大丈夫なんだろうか……。アルミを削り出すだけで2万円くらいかかっちゃってそうだけど……。思わず心配になった筆者だったのだが、その耐久試験を行なっているという長野県の安曇野工場を見学させてくれることになったので、次回、VAIO Phone Aの高耐久の秘密を探ってみたい。
こんなにリーズナブルな価格なのに、本当に耐久性は高いの?
(2017年5月31日掲載)