VAIO × MEDIA

法人へ向いたVAIOの取り組みを訊く

株式会社アスキー・メディアワークス Ascii.jp ビジネス (2018年03月07日)より転載
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広告を打ったことで法人向けという認識は高まった

ソニーのPC事業が飛び出してVAIO株式会社となったのが2014年の7月1日。設立当初から、これまでの個人向け重視から法人向けへ重視へとシフトするとしてきたが、昨年「VAIO、法人へ向く。」と広告を打ち出し、より鮮明に法人向けにシフトしていることをアピールした。1年たってどんな結果が得られているのか?

VAIO株式会社 執行役員の花里隆志氏に、社内の変化や法人向けへの手応えなどのお話を伺った。

VAIO株式会社 執行役員の花里隆志氏

―― 「VAIO、法人向く。」という広告を打ち出し、この1年で手応えや変化はありましたか?

花里 商談へ行った際、「見ましたよ」という反応をいただくことが多かったですね。法人へシフトしたのは、VAIO起ち上げ当初からのことですので、我々として何かを変えたわけではありません。その認知度を高めるために広告を出した形なので、変化という意味では、そこまで大きな変化はなかったと思います。大事なのはむしろ明確に、そのことをご理解いただけつつあること。「VAIOさんも随分変わったね」という反応を、お客さまの声としていただいております。

―― ソニー時代は個人向けの製品が主力でした。ガラッと方向転換がなされたわけですが。

花里 製品に関しては、起ち上げて1年、2015年の5月ごろには、すでに現在の仕様になっていました。大きな転換があったとすればそこですね。ただしお客さまが法人になったといっても、製品をお使いになるのは個人の方ですし、その方々にファンになっていただかなければなりません。だから「コンシューマーに受ける要素」もきちんと残しております。商品づくりという観点からすると、個人・法人の両方を見据えてはいますが、法人利用の核は外さない、という点にかなり力を入れてやってきております。

―― ものづくりとしては、個人向けも法人向けも変わらないと。

花里 まず仕様を法人向けに入れ込んで外さない。そこを守っていれば、VAIOらしさはデザイン性などにおのずと反映されます。逆にそこを しっかり担保しないと、VAIOらしさがなくなってしまいます。そもそもお客様を訪問した際に、「昔使っていました」とか、「好きなんですよ」というところから話が始まり、以降の商談がスムーズに進んでいくケースが多いのです。だから、VAIOファンに向けた商品企画は外せないと思っています。

―― 法人向けに外せない部分というのは具体的に何ですか?

花里 仕様面で外せない部分があります。たとえば、インターフェースではアナログRGBを搭載することだったり、広範なOSもサポートするとか。特に法人では、保証や保守周りを強化しています。中身のOSも通常のWindowsだけでなく、IoT版が採用されたりといった 今までにはない違いがあります。エンジニアも企画担当者もここを念頭においた製品開発に取り組んでおります。

―― ソニー時代に比べて法人比率はどのように変わっていますか?

花里 圧倒的に違いますね。ソニー時代は9割がコンシューマー向けでした。現状ではビジネスカスタマーで考えれば7割を超えています。いま成長の原動力は法人向けですし、コンシューマー市場は、前年比減で厳しいと言われています。おかげさまで法人は市場環境がいいこともあり、我々も成長を続けています。

働き方改革によりLTEモデルを検討する企業が多い

VAIO ProシリーズとVAIO S11/S13 ALL BLACK EDITION

―― 2017年9月に新製品が出ましたが、外観的には大きな変化はありませんでした。

花里 新しいデザインやチャレンジでコンシューマーの人たちをびっくりさせて引っ張っていくというのがソニー時代だったと思います。びっくりさせたいということはある程度持ちながらも、そこをやりすぎてしまうと、お客さまはリスクを感じられるので、キープコンセプトということを念頭においております。

―― まだ発売されてから数ヵ月ですが、新製品の反応はいかがでしょう。

花里 前モデルも併売しており、お客さまにもよりますが、新製品の反響は大きいですね。特に生体認証が入り、VAIO Pro PF(11インチモデル)の軽さなどを含めて、お客さまとの商談では、新製品のほうが多いですね。

―― LTEモデルもVAIO Pro PG(13インチモデル)に搭載されました。

花里 ほとんどの企業が「働き方改革」を意識していると言われます。ただレベルには差があって、「検討している」「考えなければいけない」「早く導入して変えていきたい」と積極性が異なります。仮にモバイルにシフトしたいと考えるお客さまがいて、従業員がどこでも働けるようにしたいとなると、LTEも検討の1つに入ります。結果として、見積もりをお出しする際は必ずLTEのあるなし両方が欲しいと言われます。

LTEモジュール搭載で、どこでもネットへ接続可能に

―― 企業が導入する上で性能や使い勝手も重要ですが、コストも外せません。VAIOとしては、コスト面についてどうお考えですか?

花里 当然、企業によっては大量に導入されるので、コストを気にされますが、そういう場合は商談ベースで値引きなどのご相談はさせていただいております。ただ、やっぱり我々のハードを選んでいただくお客様とは、それなりに我々の付加価値をご理解いただいたうえでの商談となります。外で働くということは、持ち運ぶ機会が多いということですから、従業員に対するケアという意味で軽くて薄い製品を、管理者にとっては壊れにくいということが気になるわけです。安い初期コストで導入できたものの、その後にお金がかかってしまうというケースも多い。その点、我々の製品を選んでいただくお客さまは「安曇野FINISH」の高品質を、十分ご理解いだだいています。若干のコスト差はあっても、運用コストを含めればリーズナブルになる、という理由で選定いただくケースが増えてきています。

―― そのあたりが法人へのアピールポイントでしょうか。

花里 そうですね。「なんでもいい」という層にはなかなか選んでいただけません。お客さまもさまざまで、たとえばリースなどで、保守を自分たちではなく外部に任せているケースなどもあります。一方、自社で面倒を見るIT担当者の方々は、安定性や信頼性を気にされますので、PCライフサイクルで見たコストの大小で判断されます。我々の製品はトータルコストで考えた場合、ご評価いただける仕上がりだと思っていますし、逆にそういうご提案もしております。

―― 実際のPCライフサイクルは、どのくらいの年数なんですか?

花里 かつては3年ほどでしたが、最近は4年とか、長いところでは 5年というところもあります。

―― 2020年にWindows 7のサポートが終わります。現状ではVAIO Pro PBのみで来年から販売ができなくなってしまいますが、Windows 10の引き合いはどうでしょうか。

花里 当社のお客さまに関しては、Windows 10の導入は進んでいますね。社内の業務システムが動かないというケース以外は、以前のOSと比べても早期に移行の検討が進み、すでに完了しているケースが多いと思います。おおよそ7割以上が移行しているのではないでしょうか。

VAIOならではの品質とサービス

力を入れているキッティングサービス

―― 昨年からキッティングサービスに力を入れていると思いますが、導入されている企業の利用率は高いですか?

花里 多いですね。特に我々が直接販売する際は、キッティングの選択率が高いですね。お客さまの環境に合わせてマスターイメージを作り、いろいろなセッティングに合わせて出荷します。それ以外にはアクセサリーや覗き見防止フィルターをつけるケースもあります。キッティングだけでなく、いま我々からご提案させていただいているのは、LTEを使ったセキュリティーですとか、分割して購入していただくとか、付随するサービスをいろいろとご提案してご案内しております。

―― 今回の新製品から、日本製と謳うようになりましたが、お客さまの反応はいかがですか?

花里 まだ具体的にどの程度の反響かというのはわからないのですが、もともとお客さまとお話をすると、日本メーカーという見かたをしていただいています。もともと安曇野FINISHを前面に出してお客さまと対応させていただいていました。信頼性の高さは以前から訴えていました。それがさらにメイド・イン・ジャパンと公式に言うことで、より確かなものになったと思います。

―― 安曇野FINISHはお客さまに認知されているのでしょうか?

花里 安曇野FINISHと言って、知っていますというエンドユーザーさんはそこまで多くないと思います。ただ、我々は安曇野FINISHと銘打って必ずご説明するので、導入したお客様は、ご理解いただけていると思います。

安曇野にあるVAIO本社で、最終チェックや組み上げが行なわれている

―― 今後、法人向けの施策として何か考えられていますか?

花里 我々は、お客様へ直接、商品のよさですとか、サービスを訴えて、広告だけではなくVAIOはちゃんと法人向けが大きくなっているとこをお話しなければならないと思っています。そのためには、直接ご訪問して説明する機会を増やしたいですね。エンドユーザーへ直にアプローチする営業活動の頻度をもっと上げていくために、リソースの強化を図っておりますし、もっと手広くご紹介するために、展示会やセミナーを増やして、そういったお客様にアピールする機会を増やしております。

―― 導入されている企業はどういう業種が多いのでしょう。

花里 もともとは製造系やパフォーマンスを重視するクリエイティブ系のお客様が多かったのですが、最近は特定の業種に限定できません。強いて言えば、ご自分の会社に対する考えかたですとか、ブランドに対する考え方がしっかりしているお客様が多いですね。業種業態に関わらず、質の高い製品を持たせてやる気をアップさせたいとか、持ち運ぶのに苦労させたくないですとか、従業員に対する心遣いがあるのだと思います。ブランドで言えば、やはりカッコイイものをもたせたいという企業さまが多いと思います。

―― 従業員からボトムアップで上司に提案するケースもありますか?

花里 ありますね。選定の方法はいくつかあって、事前に何台か検証機を購入されて、社員アンケートを取ったりするそうです。人気投票を経て、導入コストを検討する。ほかにはいくつかの機種を選定して、その中から選んでいいとするケース。その際にVAIOの人気が圧倒的に高いそうです。一度ご購入いただけるとリピートで数がどんどん増えていって、当初想定していたものよりも数が出たという企業が多いですね。

将来を見据えた商品づくりを目指す

―― 2017年6月に社長が交代されました。何か変わったことはありますか?

花里 基本方針は変わっていないので、法人をしっかり伸ばしていくことと、長期的な目線で商品作りを含めてしっかり戦略を練っていくこと、たとえば2020年を見据えて考えています。前社長のときは事業を安定させることを重視していましたが、現社長ではこの先の成長戦略というところを考えてやっております。

―― 他社との協業はいかかでしょう。

花里 PC単独のビジネスだけではなくて、働き方改革として、しっかり周りを含めたIT環境をご提案していこうと思っています。その中で、全て自分たちが丸抱えしてやっていくのではなく、強みを持ったパートナーとVAIOがタッグを組んだ「TRUSTDELETE Biz for VAIO PC」や「LTE-X」などのサービス化を検討したいですね。ほかにもセキュリティー系や資産運用の会社さんですとか、アプリケーションベンダーさんとはいろいろとお話させていただいております。

「TRUSTDELETE Biz for VAIO PC」は、遠隔操作によるデータ消去や位置情報の取得などができるサービス

―― 今後法人に対してどのようなアプローチを考えていますか?

花里 働き方改革といったことをより我々のハード面だけでなく、周りのソリューションも含めたものを提案したいと思っております。そのために、展示会やセミナーを多く活用させていただいて、いろんなご提案をできる場を増やしていきたいですね。

―― 最後にみなさん待たれていると思われる新VAIO Zについて、何かお知らせできることはありますか?

花里 Zのコンセプトは純国産で「快」を究極に突き詰めたコンセプトでやらせていただいております。Zはソニー時代からVAIOのDNAの根幹にあるようなもので、現在のような形がいいのか、それともVAIOとしての意思を示すという意味では、別の意味合いもあるかもしれませんので、そういうことを考えると、次のラインアップもご期待いただけるのではないでしょうか。今回のVAIO Proシリーズの第8世代インテルCoreプロセッサー搭載モデルで、熱設計技術を駆使したVAIO TruePerformanceによる性能向上を実現しましたが、これはZの系統なんですね。ですので、ある程度スタンダードモデルでもZイズムを搭載していきます。次のVAIO Zは、それとは違う、我々の新たな提案ができるのではないかと思っております。

エンドユーザーの人気が高いVAIO。法人への認知は着実に進んでおり、安曇野FINISHによる品質の担保と導入コストをどう捉えるか、しっかり理解してもらうべく、今後もより企業に直接伝えていくようだ。数年後のVAIOや新VAIO Zがどのようなものになるのかなど、興味は尽きない。

法人向け製品情報

intel プロセッサー・ファミリー

インテル® Core™ プロセッサー・ファミリー
Intel Inside® 圧倒的なパフォーマンスを

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