開発ストーリー Vol.02 VAIO Z

最高のレスポンス
実現する
Z ENGINE®への挑戦。

VAIOがお勧めする Windows.

ニコ生にVAIO Zの心臓が映る。
どよめきが起こったコメントが躍った。

2015年2月16日、ついにVAIO Z発表の日。東京・渋谷 ヒカリエでは、新製品発表会に続いて、ファン向けのイベントVAIO meeting 2015を開催。午後7時になると、会場は、抽選で選ばれた約200名のVAIOファンの熱気で溢れかえっていた。イベントの目玉は、VAIO Zの分解ショーだ。ボトムカバー、液晶、バッテリー……。機構設計の原田が次々と分解し、PMの笠井が一つ一つこだわりを明らかにしていく。この様子はニコニコ生放送でも中継されていた。ここまで見せていいのか。会社の大きなディスプレイの前に集まっていた安曇野の開発メンバーも驚いた。手塩にかけた製品が身ぐるみ剥がされていくさまをハラハラしながら見守っていた。最も会場がどよめいたのは、VAIO Zの基板が外れされ、VAIO Fit13Aの基板と並べられた時だった。小さい美しいな マジスマホに乗るやんこんなの!ニコ生の画面にも、視聴者の驚きのコメントが次々と流れた。

VAIO Zの基板はFit13Aに比べ、その面積は約3分の2ほどしかない。なぜこれほどまでに小さくする必要があったのか。それは、VAIO Zの開発にあたって掲げた命題、ビジネスの究極の道具をめざして、圧倒的なレスポンスモビリティを両立するために他ならない。レスポンスを高めるためには、よりパワフルなCPUを搭載したい。開発初期段階からTDP28Wの高性能プロセッサーの採用を考えていた。しかしCPUが高性能になるほど、その分、発熱量や消費電力が大きくなる。より強力な冷却機構が必要となり、PC本体は重くなり、厚くなる。ただ単にパフォーマンスを追求するだけでは、モビリティを犠牲にせざるを得なくなるのだ。この課題をどうするか。高密度実装技術と放熱設計技術。VAIOは他社が真似のできない技術を持っている。この強みを活かせばVAIOらしい究極の道具を実現できると考えた(PM 笠井)。限られたスペースのなかで、基板を極限まで小さくする。空間的な余裕を生み出し、それを放熱のために活かす。かつてないレスポンスをもたらすZ ENGINEはこうして導かれていった。

レスポンスのために、
絶対にきる
その想いが基板を削った。

VAIOは、なぜ高密度実装に取り組み始めたのか。話は12〜13年前VAIO SZの開発時点に遡る。一般的にいえば、PCは水平産業の最たるものだ。各社横並びのテクノロジーデバイスを買ってきて製品を組んでいる中で、重要なのは自分たちの技術力でいかに違うレベルのものを創造できるか。VAIOが100%完結してつくれるのは、基板だ。基板を小さくする技術を研ぎ澄ませることは、大きなメリットを生む。他社との差異化を図り、お客様に新しい価値を提供することにつながる。このときVAIOはそう考えた。高密度実装に取り組む意義を設計・製造をはじめ様々な部署が共有。同じメンバーが10数年をかけて毎日、毎日、改善と習熟を重ねて磨き上げてきた。その結晶が、まさにVAIO Zの基板といえる。顕微鏡なしでは部品の判別ができないほど小さな部品が精緻に並ぶ。特にCPUの近くには、0.6mm×0.3mmのチップが0.2mmピッチハンダ付けされている。もちろん、培ってきた技術があるとはいえ、この小さく美しい基板に簡単に辿り着いたわけではない。基板に収まらないから、より小さな部品を探したこともあった。部品の間隔や配線の長さも、単純に詰めればいいというものでもない。小さな基板でレスポンスを求めると、配線をもの凄いスピードで信号が通る。その信号が基板内で影響を及ぼし、ノイズが発生するからだ。こうした課題をクリアするために、基板のサイズや電子回路の配置、さらには冷却ファンやヒートパイプを含めたレイアウトなど、数えきれないほどの検討を繰り返した。もう、これが限界じゃないか。そこまで突き詰めた提案も、幾度となく覆された。つねに限界の一歩先が要求された。正直、心が折れそうになる時もありました(笑)。しかし、困難に立ち向かうたび、開発メンバーが“最高のレスポンスを提供したい”という同じ想いで取り組んでいるのを実感しました(基板設計 大高)。レスポンスのために妥協しなかったことはまだまだある。0.3秒でスタンバイ状態から復帰できるInstantGoと、より高速なPCle接続のSSDを同時に導入できたことも、そのひとつだ。InstantGoは、VAIO Duo 13で世界で初めて導入した機能。実はVAIO Duo 13の時もPCle接続のSSDの搭載を目指したが、開発期間の兼ね合いから断念した経緯がある。VAIO Zでは、この2つの速さをお客様のために何が何でも導入したいと考えた。しかし問題があった。InstantGoとPCle接続のSSDの組み合わせはプラットフォームベンダーからサポートされていなかったのだ。そこで開発チームは、この2つを組み合わせた場合の電力の設定などを徹底的に調べ上げ、動作的な問題を一つずつ潰していった。InstantGoと第二世代のHighspeed SDDの両立を自力で可能にしたのだ。この基板はVAIO Zの心臓であると同時に、絶対やり切るというみんなの心が詰まったところなのかなと感じています(電気設計 安江)。

熱を冷ます、
だけではない。
音も消せ。

VAIO Z は、TDP28WのCPUを使用し、さらにcTDP機能で電力を35 W までアップできる。この高熱量に対応するために、基板を小さくし左右に2基の冷却ファンを搭載。ヒートパイプで接続してCPUの熱を分散して排熱している。普通のPCならファンを2つ載せれば終わり。しかしVAIO Zは静粛性、ファンが出す音の質にもこだわった。その成果がアシンメトリーブレードデュアルファンです(熱設計 大池)。2つのファンを同時に、しかも高速で回すと、唸り音や高周波ノイズが発生する。そこで左右の羽の枚数を異なる素数(41枚と31枚)とし、それぞれ羽は不等間隔で配置。これにより唸り音が発生するポイントや高周波のピークをずらし、ファンの音を抑えている。音の感じ方は人によって違う。何度も試聴会を重ね、多くの人に意見を求めた。このキーンとした音、何とかならないかなちょっとザラザラした感じが嫌だね。数値では捉えきれない不快な音を解消するために、防音室にこもり、音の調整を繰り返した。開発メンバーを悩ませたのが、試作モデルができ上がるたびに、条件が変わってしまうことだ。音質は、小さな穴がひとつ増えただけで影響される。すべての試作段階で、皆で聴き比べて、場合によっては機構全体を見直したり、細かい設定の変更を加えました(熱設計 大池)。ファンの回転数や制御などの設定は、毎回ソフトウェアで変えているが、ここにもVAIOの強みが活かされている。安曇野にはソフトウェアの設計チームもいる。急遽、設定を変えたり、別の設定を試してみたいときも、臨機応変に対応できる。外部にソフトウェアの設計を依頼している場合はこうはいかない。些細なことかもしれないが、設計リーダーたちのデスクには、自分の椅子の他にもう1つ椅子が用意してある。この部分をもっと良くしたいと思ったら、ソフトウェアでも製造でもすぐに担当メンバーに来てもらって、同じ画面を見ながらアイデアを出し合えるようにだ。まさにチーム一丸となり、許された時間の中で最善を尽くした。最終的には、サイレントモードなら、図書館や寝室など静かな場所で使っていても、音がまったく気にならない。本当にファンが回っているのわからないほどの静粛性を実現できたと思います(電気設計 安江)。ちなみにサイレントモード時はCPUの出力をコントロールして音を抑えているが、静かだからといってレスポンスを犠牲にしては意味がない。ファイルを開く、動画を見る、デジタルノートを使うなど、何十通りもの使用状況を想定して、どれだけの電力が使われるのかを検証。静かさを優先しても快適に使えるレスポンスを実現している。

ユーザー
一瞬と感じられるか否か。

VAIO Zは、VAIO株式会社がゼロから開発したモデルだけにメディアの注目度も非常に高い。2月16日の発表以降、専門誌のWebサイトなどでは数多く特集記事が組まれた。Iris™ グラフィックス(Core i7)の性能は、一般的なHDグラフィックス(Core i7)の1.32倍第二世代High Speed SSDのデータ転送速度は、SATA型SSDの3.3倍InstantGoは0.3秒で高速起動など、記事ではZ ENGINEがもたらした別次元の速さが具体的な数字とともにクローズアップされている。ともすれば、こうした数値を目指して取り組んできたと思われるかもしれないが、それはVAIOの開発ではない。自分たちが届けたいと考えた、使う人にとっての価値を具体化するために、何をすべきかを考え、ギリギリタイミングまで突き詰める。世界初とか世界最速と誇れる数値も、あくまでもその結果でしかない。VAIO Zは究極のレスポンスを目指した。大事なのは、触れたときに一瞬と感じてもらえるか。どんな利用シーンでも、速いと感じられるか。それこそが開発の目標であり基準だった(PM 笠井)。1秒でも速く、1秒をも無駄にしない。圧倒的なレスポンスを追求したVAIOの高密度実装技術。実はその一瞬の速さというベネフィットを、まる一日実感できるパフォーマンスももたらしている。VAIO史上最長、15.5時間*の長時間バッテリー駆動だ。そしてこの長時間バッテリーを実現するにあたっても、Z ENGINEに匹敵する執念が込められていた。
* JEITA測定法2.0の場合。JEITA測定法1.0の場合、20.2時間。(搭載条件による)

(2015年3月31日掲載)

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