開発ストーリー Vol.03 VAIO Fit 全部入り。だけど、薄くなければVAIOではない。

VAIOがお勧めするWindows.

  • プロダクトマネージャー(PM) 林 薫 商品ユニット1
  • プロジェクトリーダー(PL) 葛谷 泰幸 商品ユニット1
  • メカプロジェクトリーダー(メカPL)片平 悟  商品ユニット1

陶器のようになめらかでやさしいシンプルなデザイン。そこを目指しての、バッテリーの大変革、プラスチック素材の後加工、オーディオ端子を特注するといった細部へのこだわり。そして、使う人の感性に訴えかける音質と画質の追求。エントリークラスとしての限界までつくり込んでいたVAIO Fitだが、まだVAIOとしては不十分であった。あらゆる要素を満たしていても、薄くなければ。「そのクラスの中でトップを狙える薄さに仕上げる、今できる中でいかに薄く仕上げられるか」。それこそがVAIOに脈々と受け継がれる信念だと、開発に携わる面々が口を揃えて語る。「VAIO Fitの開発にあたり、今までのエントリークラスではどうしても切れなかった1インチ(25.4㎜)を切りたいというのが、そもそもの発端としてありました」(メカPL 片平)。VAIOの命題とも言える薄さの追い込みに関しても、バッテリーを4セルにしたことが功を奏し、VAIO Fit全体の完成度によい作用を及ぼしている。「丸いバッテリーセルを液晶と重ならないように逃がして薄くしているところがポイントです。従来はセルが二列並んでいたので、液晶とオーバーラップして厚みが大きく出てしまっていたのを、一列に抑えるべく、デザイナーもメカ設計も苦心し、バッテリーの開発チームにも協力してもらい、バッテリーと液晶の位置をずらすことができました」(PM 林)。4セルにする際にバッテリーの持ちが問題になった話は前述した通り。「そこに加えて、今さら丸いセルを新規でつくるなどありえないと考えるのが一般的ですが、薄くするにはそれしかなかった。大変なことはみんなわかっている。でも、その先にある新しさや面白さに対して向き合おうと」(メカPL 片平)。ありえないと考えつつも、最終的にはやってみようとなるのが、VAIOの開発チームだ。

0.2mmの決断から、滲み出るもの。

4セルで丸いバッテリーにした効果で本体側が薄くなった。そこに合わさる液晶側にもまた、薄さへの執念が宿っている。VAIO Fitの液晶側のカバーの肉厚は1.6㎜。それまでの1.8㎜から0.2㎜減らして基本ベースを削り、その上で色々と細かい手を加えていった。 基本肉厚を1.8㎜から1.6㎜に変えるというのは、デザインを始める前段階からデザイナーと設計担当とで侃々諤々やりあった部分だという。「いや、0.2㎜やってみようよ。たとえ0.1㎜でも、0.05㎜でも、デザインの美しさが少なからず変わる」というのがこのときのデザイナーの言い分だ。設計担当の立場としても薄くしたいのはやまやまだが、薄くすると部品の不良率が上がるので、生産台数の多いエントリークラスの場合は特に、生産安定性を考えて簡単にやるとは言えない責任がある。しかし、デザイナーは「それだといつまでたってもデザインが進化しない」となお、主張を曲げない。ただ、このようなやり取りは、VAIOのどの開発チームでも日常茶飯事であったりする。「VAIOなんだからこれは許せない、といったことを全員が思い描きながらそれぞれの仕事をしています。会議で仕様を決めるときも、VAIOが守るべき一線を頭に浮かべながら発言しているのではないかと。単純に、利益を考えればこちらを選択すべきだが、コストがかかってもこちらを選ぶ。そんな選択を、馬鹿だなぁと思いながらしているのがVAIOかもしれない」(メカPL 片平)。その「馬鹿だなぁ」の積み重ねが、VAIOというイメージを形成してきた。イメージとは決して数値で計れるものではないが、0.2㎜をあきらめたとき、VAIOはVAIOでなくなる。「VAIOには、滲み出るものがある。VAIOとして要求されているレベルがある」(PL 葛谷)。

数値上では計れない、薄さまで。

数値上の薄さにとどまらない、それこそ本当に“感覚的な薄さ”に至るまで、VAIOは手を抜かない。 キーボード面のフラット感についても、デザイナーはもっとなめらかなつながりに見せたいと策を練った。なめらかなつながりに見せるため、キーボード奥の膨らみ部分にハイライトを合わせ、キーボード奥に光があたった瞬間、そこに線が入り、線から下は影が落ちることで膨らみ部分の手前の面積を感じさせないようにしているのだ。単純につなげると単にだだっ広い面になってしまうのだが、光を利用しているのがデザインの妙である。また、白モデルを見るとよくわかるが、ディスプレイを開けたときに液晶パネルの縁取りが天板からぐるっと回り込み、一回り小さく感じるようデザイン処理されている。他にも、「個人的にきれいだなと思っている部分が一箇所ある。閉じたときに液晶側と本体側がぴったり合うようにゴムクッションを全体に這わせていて、そのラインが非常に気に入っている。閉じたときにこれだけ隙間なく収まることはなかなかない」(メカPL 片平)。こういった細かなデザインへの気遣いは、PCに詳しくない人には伝わらないと考えがちだが、使っているうちに何気なくでもきっと感じてもらえている。人間の無意識の感覚を侮らないことを、VAIO Fitの開発チームは肝に銘じていた。「エントリークラスだから簡単に済ませるということではなく、つくる人間が知恵を絞って実現しているきれいなデザイン」(PM 林)。「“フルフラット”と表すと一言で終わってしまうが、VAIO FitのようなスタンダードなPCでフルフラットは記憶にない」(PL 葛谷)。PCを使うあらゆる人に、この普通ではないスタンダードをぜひ可愛がってもらいたい。

(2014年10月6日掲載)

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