開発ストーリー Vol.02 VAIO Pro 人を疲れさせるのは、悪だと考える。
VAIOがお勧めするWindows.
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PCで分厚い企画書を完成させ、ふと手首を見ると一本の横線が刻まれている。そんな経験はないだろうか。 閉じたときにどれだけ薄いボディのノートPCでも、開けば机との間に段差ができる。手のひらから手首にかけて、わずかな引っ掛かりを感じる。毎日使うものゆえに、負担も蓄積されていくはずだ。VAIO史上でも使いやすさを極めたVAIO Proは、そんな些細なストレスさえ消し去ろうと考えた。個人個人の“フィーリング”という実態のない価値を具現化させるため、開発チームはとことん細部にこだわり抜いた。たとえば、PCの部位でいちばん人が触れる箇所と言えば、パームレスト。VAIO Proのパームレストは、安曇野の現場では“無限パームレスト”と呼ばれている。無限とはどういうことなのか。「液晶が立ち上がってパームレストが低くなる構造は前からあったが、そこからもっと机との一体感を出せないかというところから設計を始めた」(メカPL 中村)。VAIO Proは持ち運びやすさを重視しているため、キーボードのエリアに対してパームレストが小さめのつくりになっている。小さいながらも、そのパームレストと机に置いた手がなだらかにつながるイメージの形状であり、まるで、机との境界も手のひらとの境界もなくなったかのようだ。段差も窮屈さもない。ぜひ、実物に手を置いてみてほしい。 無限という言葉の意味が、手のひらを通して伝わるだろう。
パームレストのなだらかさは、手を置いたときの心地よさだけでなく、キーボードの打ちやすさにもつながっている。普段、意識することはないだろうが、仕事でPCを使う人は1日に何千回何万回とキーボードを叩いているはずだ。VAIO Proが生まれるずっと前から、VAIOは常に、生産性を高めるキーボードにこだわってきた。Ultrabook世界最軽量を記録したいからと、キーボードを犠牲にしては本末転倒なのだ。「キーストロークをもっと攻めて1㎜でも設計できたし実用では問題ないが、フィーリングでは詰まった感触がある」(PM 林)。「過去のシリーズ含めていろいろ試した結果、行き着いたのが現在の打鍵感である」(メカPL 中村)。この、深く心地よい打鍵感を残すためにどうしたのか。キーボードの下に入れるバックライトモジュールを薄くしたのだ。バックライトモジュールは、導光板を光が通り、キーの真下から垂直に立ち上がって光る構造。光るモジュールを薄くしていくと、一番上の列では光が弱くなってしまう。最初は端のキーまで光が回らなかったが、モジュールの裏側に反射層をつけるなど、部品メーカーと話し合いながら独自開発が行われた。また、キーボードの下にはスピーカーも入っており、モジュールには音を通すための穴も開けている。穴の部分は光が弱くなってしまうので、穴を開ける場所を変えたり発光ポイントを増やすなどして完成形に近づけていった。「ターゲット数値を一度決めたら、到達のためにできることを徹底的に洗い出し、今まで積み重ねて来た延長線上で細かく丁寧にやっていくしかない」(PM 林)。それがVAIO流だ。
無限パームレストも、キーストロークも、共通するキーワードとして“ストレスフリー”があった。ストレスフリーであってこそ、使う人のアイデアが膨らみ、思考が中断されずに何かをつくり出せる。中断させないこと。集中力を途切れさせないこと。その点において、バッテリーライフがかなりの影響を及ぼす。「当然、バッテリーを大きくすれば持ちは長くなるが、“くさび型”の制約の中で基板を小さくする選択をした」(電気PL 大槻)。VAIO Proを横から見ればわかるが、机となだらかにつながる無限パームレストを採用することで、ボディがフラットではなく手前に向かうほど薄くなっている。それは、外見から受ける印象以上に内部のスペースを削っている。そんな薄い部分にバッテリー基板を配置した。設計チームは、小さい基板でも内部回路を効率的に“パーツ配置”すればいけると睨んだのだ。 薄さを実現しつつ、性能が維持できる8層の基板を採用。バッテリー基板やストレージの配置が非常に難しく、他所ではまず見られない独特な配置で収めた。「実装する部品を一つ一つ選定していくなかで、徐々に何とかいけるかも…という希望が見えてくる」(電気PL 大槻)。仕事の場面で、PCに向かっている人が液晶ディスプレイを横から見ることは少ない。そこで、集光バックライトを工夫し、光を正面に集める反射板を独自に開発することで電力効率を上げた。ACアダプターも、今回は10.5Vと、通常よりも小さい電圧のものを採用。こうして電気とメカ、それぞれが限界に挑戦する日々が続いた。「電気がつまずいてくれればスケジュールがもう少し延びるのに、メカがギブアップしてくれれば楽になるのに、などとお互い冗談を言い合っていました」(メカPL 中村)。結局、どちらも最後まであきらめない。だから、やりきれる。安曇野ではみんながチームであり、ライバルなのだ。
“フィーリング”や“ストレスフリー”といった、人の感覚に寄り添うかたちをつくるには、そもそも何を基準にしたらいいのだろう。「ある程度イメージが固まった段階で、“黒モック”と呼ばれるデザインを確認するための模型をつくり、設計部だけでなく幅広く社内で試してもらって感想をヒアリングした」(メカPL 中村)。男性と女性では、手の大きさや厚みが全く違う。若者と年配の方では、手の弾力がやはり違う。まさに千差万別。VAIO Proは7回にわたりモックを作り直しながら、誰が使っても良いと感じてもらえる位置や形状を追求したのだ。 ターゲット数値を決めて、その達成のために細かく丁寧にやっていくのがVAIO流だと先に話した。しかし、6回目のモックと7回目のモックで、数値上にさしたる差はないかもしれない。「時間の許す限り、回を重ねて意見を集約させていった」(PL 市川)。さらに、開けやすさとタッチパネルの使いやすさにも気を配ったところから、開閉には可変トルクを応用するアイデアが出てきた。以前のものは軽量化するほど片手で開けづらくなった。上側を開くと下側もくっ付いてきてしまうからだ。そこで、0~105度は開けやすさのために弱い抵抗力。105度以上に開くと、画面にタッチしてもぐらつかないように強い抵抗力。2種類の抵抗力を計算して採用した。この、105度という数値。「経験値もあるが試作機を用意し、分度器で測って実際に使いながら、調整していった」(メカPL 中村)。何度でも試行錯誤しながら、ベストを見極める。もはや開発チームの執念と言うしかない。この執念は、VAIOの機能美に対してもいかんなく発揮された。
(2014年9月19日掲載)
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