VAIO Z 使用事例レポート Vol.2

株式会社サイアメント
瀬尾拡史様の場合

profile

瀬尾拡史
1985年生まれ。東京大学医学部医学科卒。医師。現在は、「サイエンスを、正しく、楽しく。」を合言葉に、株式会社サイアメントにて、サイエンスCGクリエーター、医療CGプロデューサーとして活動。医学の専門家としての確かな知識と経験を活かし、他では真似出来ないような「正しさ」と「楽しさ」とを両立させたサイエンスコンテンツを制作している。

VAIOを採用した3つのポイント

開発したインタラクティブなCGが、
ヌルヌルと動くハイパフォーマンス

VAIO® Z(以下Z)を持ったことで、講演時にCGのデモを見せられるようになった。それも“とりあえずインタラクティブなCGが動く”よりも、“インタラクティブにヌルヌルと滑らかに動く”ようになったことが大きいと言う。Zなら「60fps位あるんじゃないか」、「シューティングゲームをしているんじゃないか」と錯覚するほど、開発した気管支シミュレーターのCGなどが滑らかに動く。さらに、CGやプレゼン資料を人に見せてレビューするときも、高解像度でクッキリと映えるディスプレイなので、美しさゆえの説得力が生まれる。

ペン先が細く、複雑な形状も正確に捉える
スタイラスペン

ハイクオリティのCG制作をプロデュースするにあたり、制作プロダクションとの密なコミュニケーションも重要だという。CGのデモを見て修正の指示書を作成する際、臓器などの複雑な形状を速く正確に囲うことができるスタイラスペン(以下ペン)により、相手に修正の意図が伝わりやすくなり、作業効率も上昇した。

長時間の高負荷作業にも耐えるバッテリー

Unreal Engine等のソフトを使いCGを動かせば、PCの負荷も大きくなるため、バッテリー消費も大きくなる。Zは出張で新幹線に乗って移動中にCGを動かし、挙動を確認するといった作業をしても、バッテリー切れを起こさないので集中できる。

移動中の作業も、プレゼン時も、両方便利に使える

―まず、株式会社サイアメントの仕事内容を教えて下さい。

私が代表取締役を務める株式会社サイアメント(SCIEMENT, Inc.)は、サイエンス(学術、科学)に特化したCGプロデュースを専門に行い、ハイクオリティなCGコンテンツを創る会社です。私自身、医師の資格を有していますので、医学に関する3DCGコンテンツのプロデュースを最も得意としています。複雑で難解なサイエンスの世界を、誰にでも身近で「正しく、楽しく」伝えたいと考えています。

※制作時に使用する主なアプリ Autodesk Maya / Unreal Engine

―仕事のツールとしてVAIOを選んだのはなぜですか?

私はZのフリップモデルを使用しています。実は、以前使っていたのもVAIOだったのですが、古くなってきたので買い替えを考えていました。そこで、VAIO株式会社に検証機材の貸し出しをお願いし、ZとVAIO Z® Canvas(以下Canvas)を借りた上で、最終的にZを法人として購入しました。

―Canvasではなく、Zの方を選んだのはなぜですか?

自分で資料を作って、それをプレゼンする機会も多いのですが、Zなら一台で両方便利に使える利点がありました。普通のノートPCのスタイルで資料を作り、プレゼン時には、その場でフリップして周りに見せながら話せるので、とても便利でした。また、私は出張で新幹線に乗ることも多いのですが、新幹線のテーブルに置いて資料を作成するときに、キーボードが一体型のZほうが便利だったこともあります。CGを使うパフォーマンス的にはCanvasのほうが良いのですが、Zでも開発したCGが滑らかに動くパフォーマンスを充分確認できたことと、狭い空間でキーボードも使うとなると、Zのほうが向いていると思いました。

―はじめて触ったときの印象は?

キーボードがとても打ちやすく、しかも速く打てるなと感じました。CGを動かすだけでなく、資料や指示書の作成でテキスト打ちをするので、これはとても良かった点です。あとはカラーですね。以前のノートPCはブラックだったので、Zもブラックにしようと思っていたのですが、購入直前に迷って直感でシルバーに替えました。手元にやって来て改めてシルバーが格好良いと思いました。手で触ったときの質感も良いし、VAIOの主張しすぎないダイヤモンドカットのエンブレムも気に入っています。

高いパフォーマンスとスタイラスペンで効率アップ

―VAIO導入により、どのような変化がありましたか?

CGを動かしても、すぐにバッテリーの残量が気になるようなことが無くなりましたね。例えば、新幹線の中でコンセントが無いときでも、よっぽど重い作業をしなければ、目的地まで持ってくれるので、気にせず作業できて、とても効率が良くなりました。

―仕事のプロセスにおいて、便利になったと思ったことは?

インタラクティブに滑らかに動くCGは、今までデスクトップPCじゃないと再現できなかったので、講演では見せられないことも多かったのですが、Zならヌルヌルと滑らかに動いてくれるので、講演で見せることができる。そこが便利になりましたね。

―他に「こんなときに便利だった」というエピソードは?

便利だったのは、ペンが使えること。これはとても助かっています。CGの制作は自分で全部作るのではなく、制作プロダクションと協業し、ディレクションしています。プロダクションから出て来たCGのデモを見て、修正ポイントをスクリーンショットし、パワーポイントに貼り付け、丸とか三角で囲って、修正指示を書き込むのですが、ペンを使うことで、それがもの凄い速さでできるようになりました。

―VAIOのパフォーマンスが活きたことはありますか?

例えば、東京から京都まで、新幹線での移動中にZを開いてCGを動かし、挙動を確認する場合もあります。Unreal Engine等のソフトでCGを動かすとPCに負荷が掛かるので、バッテリーの消費も増えますが、そんなときでもZなら安心して作業ができます。コンセントが無い状況でも、すぐにバッテリー切れを起こす心配もありません。

―ペン+パフォーマンスによって効率がより上がった?

そうですね。ペンで囲うものが、例えば肝臓のオブジェクトなら、かなり複雑な形になるのですが、それでも速く正確にトレースできて、すぐにキーボードで注釈も書ける。以前はマウスでざっくりと丸や四角しか書けなかったので効率がグッと上がりました。 さらに、講演の席で滑らかに動くインタラクティブなCGを、実際に見せることができるようになったことも大きいですね。

―フリップの使い心地はいかがですか?

タブレットの代わりになりますよね。ひっくり返す形状にして資料の共有時によく利用しています。共有時には見せるだけではなく、ペンを使って「ここは大事だから」みたいに丸く囲ったりもするので、ペンの威力はここでも大きいです。

―デスクトップとノートの使用比率は変わりましたか?

昔はデスクトップ環境を離れたら、仕事を終わりにせざるを得なかったのが、今は「移動中にZで続きをやればいいや」と思えるようになりました。膝に乗せても熱くならないし、デスクトップ作業の時間が短くなったというよりは、ノートを使う時間が長くなりましたね。

―プライベートでの楽しみ方は?

クラシックの曲をよく聴くのですが、音割れがしないですね。ノートPCの場合、イヤホンを装着しないと音割れすることも多いですが、Zはびっくりするぐらい音が良かった。スピーカーに繋げなくてもよく聴けるので、スピーカーを持ち歩かなくてもいいし、講演時に会場のスピーカーへ接続できなくても、直接Zにマイクを近づけ音を拾って耐えうる。これは何気にびっくりしました。

これ一台で何でもできる。伝えたいことが伝わるから、可能性が広がる

―VAIOはビジョンの実現にどのような形で活躍していますか?

私のビジョンは、複雑で難解なサイエンスの世界を、誰にでも身近で「正しく、楽しく」伝えるCGコンテンツを世に送り出すことです。その中でも、誰にでも伝える点においてZの存在は、とても大きいと感じています。 以前は、「CGを動かすには高価なワークステーションが必要なんでしょ?」と言われることが多かった。でも今なら、「ノートPCで滑らかに動きます」と、その場で言えるので可能性は広がりますよね。Zがあれば、ノートPCで動きますと自信を持って言える。また、CGの動きの確認作業もできるので、これでサクサク動くかが、インタラクティブ系のCG開発での指標にもなりました。

―今後、VAIOをどのように活かしていきたいですか?

理想論になりますが、専用のデバイスを作って活かせたらと考えています。例えば手術の場合、臓器に糸を引っ掛けて引っ張るなど、医療の現場では手で色んな操作をするのですが、手で操作するためのデバイスを作りUSBで繋げると、シミュレーションで事前の訓練ができる。これまでは開発費用が何百万、何千万とする機械を使わなければできなかったことを、誰でも手軽にできるようになれたら良いなと思います。今のZのパフォーマンスとCGの技術、そしてペンの機能を応用して、奥行きも感知できれば可能かも知れませんよね。

―今後、Zに求めたい点を教えて下さい。

ノートだけではなくデスクトップも欲しいですね。Zだったら格好良いし、便利だと思う。あとは、学生さんのエントリー用に、エコノミークラス的なものがあったら嬉しいですね。以前、CGを作る学生さんと仕事でかかわったことがあったのですが、この前会ったら「瀬尾さんが発表でVAIOを使っていたから、僕も真似して買いました」と言われたので、大学の生協にも置いてあったら、購入のハードルも下がるなと思いました。

―CG制作をする人はもちろん、これから買ってみようという人達に向けて一言。

これはエンジニアに多いと思うのですが、出張先のホテルにHDMIケーブルを持って行き、部屋のTVに繋いでデュアルモニターで作業をすることがあります。2画面にするのは、ひとつでソースコード出して、もうひとつで実行画面を出すからですが、それをしてもZは静かで熱くならない。移動中でも移動先でも余程のことが無ければ、これ一台で事足りる。一台で何でもできるのは本当に大きい。荷物が軽くなるのはいいですよ。

(2016年06月20日掲載)

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