鹿野宏の
一眼ムービーなんて怖くない!
スチルフォトグラファーのための
デジタル一眼レフ動画撮影ガイド
コマーシャル・フォト 2015年7月号より転載
コマーシャル・フォト 2015年7月号より転載
●VAIO株式会社が満を持して放つタブレットPC「VAIOZ Canvas」。5月の発売を前にテスト機を使うことができました。その主なスペックは、4コア/8スレッド対応の第4世代Core Hプロセッサ(Core i7 -4770 HQ)、メモリーは最大16 GB。グラフィックアクセラレーターはオンボードですがIris Pro Graphicsを搭載し、Adobe PremierePro もサポートしています。記憶媒体はPCIe対応SSDで、書込速度900Mbpsをたたき出し、最大1TBを選択可能。
12 . 3型のディスプレイはAdobeRGBを95%カバー。長辺2560pixelという画面解像度は通常の30インチサイズのディスプレイとほぼ同等。それゆえ画面のピクセルピッチは250 dpiと印刷並の高精細さです。画素数でいうと436万画素となり4Kの半分強になります。
OSはWindows8.1を搭載。メモリー食いのアプリケーションでなければ約8時間はバッテリ駆動可能。これだけてんこ盛りのスペックで重量は1キロちょい…。印象では、かなり乱暴な言い方になりますが、15インチMacBookPro Retinaにデジタイザスタイラスペンで操作ができる436万画素ディスプレイが付いているといった感じです。
●この「VAIO Z Canvas」は、映像クリエイターやCGクリエイターを対象に「外に持ち出して使えるPC」を目指したということですが、通常の私の作業環境はMacBookProの最上位モデルをメインマシンに、事務所と自宅では30インチのディスプレイに接続して使用。ロケや外部での作業でも、そのままMacBook Proを持ち出して使っています。今回のテストでは、そのMacBook Proの代わりに「VAIO Z Canvas」を持って野外で撮影をしてみたのですが、これが見事にはまりました。
ソフトはAdobe Premiere Pro CC(WinマシンのためAppleのFinal Cut Proは使えません)、Photoshop CC、Lightroom CCをインストール。また内蔵のSSDの容量が心許ないので、外付けの1 TBのSSDを別に用意しましたが、これはMacBook Proの時も同様です。結果、8千万画素級の静止画、フルHDの動画、あるいは4Kであっても2~3分のショートムービーなら、充分に「外で持ち歩くメインマシン」として使えると感じました。この程度の作業であれば、画像処理も書き出しも非常に高速です。
ただし長尺の4 K動画や数億画素の超高精細画像をハンドリングする場合は、やはり 「VAIO Z Canvas」だけでは荷が重く、あくまで外部作業用サブマシン。編集作業は充分なメモリーとビデオボード、高速なディスクアレイを搭載したメインマシンが必要でしょう。
●高精細なディスプレイはコントラストも高く、賛否両論はあるかもしれませんが、タブレットとして明るいオフィスや屋外での使用を考えると、これはこれで正解だと感じました。暗めのスタジオ内での使用時には、輝度を落とすことで対応が可能なのですから。
●PhotoshopやPremiereをタブレットとペン操作で使うのはほとんど初めての経験で、当初はどう使えるのかわからなかったのですが、ロケ中に映像を確認したりプレゼンしたりするようなシーンでは、片手で持てて、ノートブック型よりもはるかに便利だと感じさせられました。上部左に配置されたボタンから色モードを呼び出して、5000ケルビン/6500ケルビンを切り替えられます。
●入出力ポートも豊富で、miniDisplayPortにHDMI出力、USB3.0×2ポート、1000BASE-Tの有線LANなどが本体側面ありますが、個人的な希望としてはHDMI入力ポートが欲しかった。撮影した映像をHDMI経由で直に「VAIOZ Canvas」に取り込み、高いビットレートでエンコードして記録し、そのまま編集作業。HDMI入力のためのチップセットがどれだけ大変かわかりませんが…もしそれが可能なら、とんでもないマシンになるのではないでしょうか?高性能タブレットが、一気に動画の世界でも受け入れられると思うのです。
ディスプレイのコントラストは高めで野外でも見やすい。専用キーボードは着脱式。実際にキーボードを付けると、見た目はまるで普通のノートブック。
スタンドの角度は自由に調整可能。本体の角度を立てる時は、スタンドを手で押さえることなく片手で角度を変えられる。この滑らかな動きは驚き。本体の角度を寝かせる方向は少し強い力が必要なため、ペンの筆圧を画面にかけても、倒れることはない。
スタイラスペンの感度・精度が高く、普通のペンような感覚で作業できるのも「売り」のひとつ。私は通常、数値を入力することが多いが、Lightroom CCのような直感的なアプリケーションでは、こちらの方が使い易いかも。
側面にはminiDisplayPort、HDMI出力、USB3.0×2ポート、1000BASE-T 有線LAN、SDXC対応SDメモリーカードスロット(UHS-II)などが並ぶ。
本体上部放熱部。ファンの動作はショートカットでコントロールができる。雨の日の屋外で使用するのは避けた方がよさそう。
撮影した動画をSDカード経由で「VAIO Z Canvas」に取り込み、Premiereで表示して確認。このサイズの画面ではさすがに本格的な編集作業とまではいかず、事務所に帰ってから30インチクラスのモニタに表示しての作業となるが、フルHD程度の映像であれば「VAIO Z Canvas」だけで、ハンドリング可能。何より、映像を見ながらモデルに動きを指示したり、クライアントに確認を取るような場合、タブレットPCのスマートさを実感できる。
(2015年9月30日掲載)
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