働き方改革を通じて、政府はテレワークを推進してきた。しかし、新型コロナウイルスが世界中で猛威をふるい、イベントや外出の自粛・制限され、急遽テレワークを前倒しで導入することになると予想していた企業は少ないだろう。

 ヨーロッパでは、テレワークの急増でネットワークの帯域を確保するべく、NetflixやYouTubeなど動画配信サービスに対して、ビットレートを一時的に下げるよう要請するほど。世界的にもテレワークを活用した働き方にシフトするきっかけとなっている。

 テレワークを始めるにあたり、すでに導入されているマシンで実施するには、なかなか難しいという企業は、マシンのリプレイスを検討する必要がある。ただ、限られた予算のなかで大量にマシンを導入するとなると、どういう基準でマシンを選ぶべきなのか悩むところ。今回は、あまたあるマシンの中で、どういう観点で選ぶべきなのかを考えてみたい。

 まず、マシンを選ぶにあたり一番重要なのが、どういうシチュエーションで利用するかということ。たとえば、テレワークを視野に入れ、オフィスでも使いつつ、持ち歩いて外出先や自宅でのテレワークとして活用したい場合、オフィスワークが中心の従業員と外出の多い営業職が利用するマシンとでは、違う性格なものになるはずだ。従業員の利用する環境を踏まえた上で、ベースとなるマシンを選び、必要に応じてカスタマイズをしていく。マシン選びの第一歩だ。

いつも持ち運ぶことを考えたら、薄くて軽量なタイプを選びたい。

 ベースとなるマシンをチョイスするとき、気になるのが最新モデルにするか、旧モデルにするかだろう。たとえばVAIOの場合も、2020年3月現在15.6インチの「VAIO Pro PH」は旧製品と併売している。新モデルに切り替わるとき、しばらくは旧製品との併売はよくあること。旧製品なら少し価格が抑えられるのではという期待もあり、予算重視で性能や使い勝手が進化した新モデルに対して目をつぶるケースもありがちだ。

昨年11月に登場した新「VAIO Pro PH」。モバイルタイプよりハイスペックのCPUを搭載するため、デスクトップマシンの代替としてオススメ。自宅へ持ち帰ってのテレワークも可能だ。

 でもよく考えてほしい。マシンサイクルは企業にもよるが4年から5年が主流。となると、1年、2年落ちのマシンを選んだ場合は、5年経つと6年から7年前のマシンということになる。使い始めのうちはいいかもしれないが、数年経てばその時点での最新モデルに対してかなり作業効率が落ちることになるだろう。

 たとえば、これまでVAIOの主力製品だった13.3インチ液晶搭載モデルの「VAIO Pro PG」は、フットプリントがほぼ同等ながら、一回り大きい14インチ液晶を搭載した「VAIO Pro PK」が後継モデルとして登場。現在の主力製品となっている。しかし、現時点ではどちらも購入できるため、企業としては価格の安い「VAIO Pro PG」を選ぶのも一つの手ではある。

13.3インチ液晶の「VAIO Pro PG」。長年VAIOの主力製品として販売されてきた。

14.0インチ液晶の「VAIO Pro PK」。画面の広さは、PGと比べて歴然で、フットプリントが変わらず、より大画面である最新モデルを選びたいところ。

 確かに、性能面で見るとどちらもインテル第8世代Core iプロセッサーを搭載しCore i5以上ではVAIO TruePerformance(VTP)に対応。より性能を引き出す仕様になっている。ただ、よく見ると搭載CPUは異なり、性能もCore i7モデルで10%程度違う。また、VAIO Pro PKの液晶のほうがより大きく4K解像度も選択できる点は、作業効率アップに直結するはず。

VAIO TruePerformanceにより、同じCPUでもよりハイパフォーマンスを発揮する。VAIO独自の設計により実現。

 ほかにも細かい点を見ると、VAIO Pro PK は主流となるUSB Type-Cにも対応し、USB電源アダプターによる充電も可能。テレワークでは、さまざまな環境での利用を考え、充電方法を複数用意してあるほうがベターだ。そうした使い勝手面も考えれば、生産性をより助けるのはどちらなのか自ずとわかるはずである。

USB Type-C搭載は、充電や拡張性をさらに広げる。写真のようにモバイルバッテリーでも充電可能だ。

VAIOから待望のUSB Type-C充電アダプターが発売。半分以下の重さなのに、PC本体に付属するACアダプターに迫る給電スピードで、サブの充電器におすすめ。

 マシンをカスタマイズするにあたり、一番の悩みどころはCPUとメモリー、ストレージといった、マシン性能に直結する部分だろう。CPUは価格の安いCeleronからCore i7まで幅広く、それに合わせてメモリー搭載量が決まってくるので、性能的にもかなり違ってくる。

 もちろん、そのぶん価格もVAIO Pro PKの場合、執筆時点で9万2000円の差がある。どうしても価格の安いCeleronを選びがちだが、ビジネス用途であっても、Core i5は最低限選びたいところ。特にVAIOの場合性能をアップさせるVTPの対応はCore i5以上のモデルだけであり、性能としても大幅に変わってくる部分だ。また、Windows 10を快適に使うには、メモリーは8GBがほしいところ。Celeronの場合は4GBしか選択できないため、その点でもあまりオススメはしない。

 さらにストレージは、断然PCIe接続の第3世代ハイスピードSSDを選びたい。ファイルの読み書きの速さはOSやアプリを使う際の動作速度にも関わってくる。体感的にも大きな差になるため、ここを渋るのは避けるべきだ。たとえ容量が少なくても選んでほしい。

第3世代ハイスピードタイプのストレージ性能を「CrystalDiskMark 7.0.0」で計測した結果。SATA接続だと500MB/s程度なので圧倒的なアクセス速度が得られる。

 また、テレワークをするという観点で考えると、セキュリティーの強化やLTEモジュールの搭載も検討すべきだろう。自宅とオフィスだけで利用するというのであれば、LTEモジュールは必要ないかもしれないが、モバイルワークを主とした営業職などでは、ネットワークを常に確保する上では必須だろう。別途モバイルルーターを持ち歩いたり、スマホのテザリングに頼るよりは、管理もしやすくスマートな運用が可能となる。

時代は5Gに突入したが、まだまだ普及には時間がかかる。しばらくはLTEで十分だ。

 ただ大量導入する場合、すべてが同じスペックのマシンである必要はない。同じベースマシンでも、従業員の働く環境に合わせて、スペックを考え、機能を取捨選択することで、予算を抑えることは可能だ。ただ、ある経営者は「スペックを上げることで生産性が上がるのであれば、その分コストを掛けても十分元が取れる」と語ったことがある。マシンサイクルも長めにせず、常に時代に合わせた最適なスペックを求めていた。いかに最高の生産性を保つかは、経営者がどう判断するかにかかってくるといっても過言ではない。

 VAIOには法人営業部隊が、企業の要望に合わせて最適「快」を出してくれるはず。いろいろと相談して、不可能を可能にしてほしい。

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