Web会議を行なうためには意識改革が必要

 自宅からのテレワークや外出先でのモバイルワークの実現は、働き方改革をすすめる上で最重要事項だ。どんな些細なこともオフィスへ行かなければ作業できない環境では、通勤や帰社する時間が無駄。外からでもオフィスと同様の作業ができれば、無駄な時間を削減できよりスピーディーに仕事が回る。

 テレワークやモバイルワークを実現する課題としていくつかのハードルがあることは確かだ。特に会議を外からでも参加可能にするには、意識改革も必要だし、モバイルワークでも参加できるマシンの確保、そしてどういったサービスを利用すべきかなど、どれか1つ欠けてもうまくいかない。今回は、そうしたWeb会議を実現するためのノウハウを紹介しよう。

 まずは意識改革から。オフィスでの会議だと、参加者の顔を見つつ、ディスプレーやホワイトボードを使って発言者が説明するといったスタイルが普通だろう。資料は参加者へ配布され、それを見ながら進行する。しかし、Web会議となるとこのあたりの進行方向が変わってくる。

 たとえば、ホワイトボードを利用してきた場合、外部から参加している人には見ることはできなくなる。また、ホワイトボードに限らず、資料をディスプレーに表示していても「これは」とか指差しして指示語を使っても、外部からの参加者には伝わらない。こういった会議の進め方の意識改革をしないと、かえって進行が滞ってしまうだろう。

 こうした点をWeb会議のスタイルに改善したいのであれば、会議参加者全員が資料を共有でき、今どこのはなしをしているのかが伝わるソリューションを導入するのがいちばんだ。たとえば、富士ソフトの「moreNOTE」は、ペーパレス化と会議の効率化を促進させるソリューション。発言者がいまどこの資料の話をしているのかが、参加者全員リアルタイムに把握できるため、スムーズに進行できる。別途Web会議を行なうビデオチャットツールは必要だが、組み合わせて利用すればリテラシーの低い人でも活用できるのが特徴だ。資料を共有するソリューションはWeb会議をする上で合わせて用意すべきである。

富士ソフトの「moreNOTE」は、会議単位で資料を保存、検索が可能。会議参加メンバーが資料を見ながら進行しやすいよう工夫されている。資料の公開期限も時間単位で設定でき、パソコン上に情報を残さないこともできる

 次に重要なのが音声である。Web会議というとビデオチャット形式で、顔を見せつつ会議を行なうというのが当たり前のような気がしてしまいがち。通常の会議では顔を合わせていることから、顔を見ながらというのは理想ではあるものの、そのために音声が途切れ途切れになってしまっては本末転倒。重要なのは顔ではなく議論なので、音声が途切れてしまったら会議が滞ってしまう。極端な話、電話回線を使って通話するほうが、確実に音声を伝えられるため、Web会議に限らずさまざまなシーンでの最終手段として電話による音声通話が用いられているくらいだ。ビデオをオフにすることでかなり帯域が絞られるため、通信状態が芳しくないときには、音声のみにするのがオススメである。

 Web会議を含めたコミュニケーションサービスはいくつかある。無料から始められるものも多く、基本パソコンさえあれば利用できる主なツールを紹介しよう。

●Skype

 ビデオチャットの定番で、Web会議で利用されるケースの多いツール。情報を共有するコミュニケーションツールを別途用いて、Web会議用として特化した使い方でもいい。

●Microsoft Teams

 ビジネス用オフィスアプリとコラボして利用するコミュニケーションアプリで、Skype for Businessを取り込んで発展させたもの。チャット形式でコミュニケーションを活性化させ、オフィス文書を共有して仕事を進めるのに便利なツール。機能制限はあるが無料で利用できる。

●Slack

 コミュニケーションアプリの先駆者。チームごとに部屋を作り、チャット形式で情報共有するSlackは、メッセージのやり取りでビデオチャット機能も備えているため、Web会議用途にも利用できる(複数人とビデオ通話するには有料プランにする必要あり)。複数のアカウントを管理でき、チームで動く企業などではオススメ。

●Chatwork

 日本版のSlackとでも言うべきか、部屋を作ってチャット形式で情報共有するのがメインのツール。もちろんビデオチャット機能を備え(複数人とビデオ通話するには有料プランにする必要あり)、タスク管理も行なえるが、複数アカウントを持てないので企業内で完結するような情報共有に向いている。

 モバイルワーク時に会議へ参加となると、さすがに喫茶店やファミレスといった場所では、重要な会議はできない。そういったときは、コワーキングスペースや時間貸しの会議室といった流行りの施設を活用するのもいいが、オススメしたいのはカラオケボックスだ。ヒトカラが可能な店舗も多くカラオケ以外で利用するケースが増えている。密室で声が漏れず、飲食もでき、電源も確保できるため、仕事をするにはうってつけ。しかも料金もそれほど高くはない。よく行く場所で、周辺にどういった施設があるのか事前に調べておくと、いざというときに仕事が捗るはずだ。

ソリューションだけではないマシン選びが重要な理由

 Web会議を行なうソリューションも重要だが、マシン選びにも注意点がある。

 まずモバイルワークを行なうマシンは、LTEモジュールの搭載が望ましい。いつでもどこでも通信ができるLTE通信は、Wi-Fiが使えない場合でも、場所を選ばずに会議に参加でき、セキュリティー的にも安全だ。スマホを使ってもビデオチャットは可能だが、資料を閲覧するにはやはりパソコンが必要。リアルタイムに会議の資料を共有するなら、パソコンにも通信機能が不可欠だ。

LTE搭載なら、パソコンを起動してすぐにネットへ接続できるので、シームレスに使える。

 次にWebカメラが付き音声をきちっと拾ってくれること。特に、話者の音声がクリアに聞き取れ、会議中に話した内容がしっかり伝わるパソコンを選びたい。例えば、VAIO Proシリーズの場合、ステレオアレイマイクを搭載。パソコンに向かって座った状態で話した音声をしっかり捉えるように設計されている。

 さらに、Windows 10付属の「Realtek Audio Console」ソフトを組み合わせる方法もある。直近モデルのVAIO Pro PK/PJ/PA/PHでは「全方向」になっている設定を「一方向」にすれば、話者の方向に強い指向性をもたせて音声の記録が可能。また、インターネットストリームのエコーを除去し、ノイズを圧縮して環境音やキーボードの打鍵音などを低減してくれる。テレワークによる会議なら、どこから参加しても最適な環境で行なえる。

 音響設定などでキーボードの打鍵音が低減できるとはいえ、キーボードの打鍵音は小さいに越したことはない。会議中にカタカタという打鍵音は、結構気になってしまい会話の内容がスムーズに入ってこないことも。モバイルワークのときは、静かな環境での作業も考えられるので、VAIO Proシリーズのような打鍵音が静かな製品がベストだ。

キーボードは静音タイプなので、ほとんど打鍵音が気にならない。

 また、会議室側で複数のメンバーで参加して行なう場合は、無理してパソコンのマイクやスピーカーに頼らず、別と専用のスピーカー・マイクを用意したほうが無難だ。このあたりは、利用する環境によって臨機応変に臨みたい。

キヤマハのコミュニケーションスピーカーフォン「YVC-330」。6名程度の小規模会議用として、オープンスペースでも雑音を抑えて会話を可能にする

 VAIO Proシリーズは、LTEモジュールの搭載、静寂性の高いキーボード、そして指向性の高いデュアルマイクの搭載など、こうしたWeb会議にも最適なマシンになっている。USB Type-Cによる充電にも対応し、VAIOからも専用アダプターやドッキングステーションも発売されたため、モバイルワークでの活用がさらに進められるはずだ。

「VAIO Pro PK」は、14インチディスプレーは4K液晶を選択可能。LTE搭載可能で、大画面モバイルとして最適。

 働き方改革を推進すべく、Web会議を導入するだけでも、さまざまな課題があがってくるはず。ソリューション選びだけでなく、マシン選びもしっかり考慮したうえで判断したい。