10年前、法人市場をターゲットに再出発
国内市場に集中し、経営の立て直しを図る
「企業のPCは一般的に、4~5年使われます。TCO(Total Cost of Ownership)、つまり初期導入費用だけではなく運用期間中の費用も含めた総コストの観点から、VAIOを選択されるお客様が増えています」と語るのは、代表取締役社長の山野正樹氏だ。カタログ上のスペックに対する価格だけを見れば、外資系メーカーの方が有利に見える。しかし、VAIOは上質な材料を使い、設計も緻密で、隅々まで手を抜いていない。壊れにくくてバッテリーの持ちが良く、きれいな状態で長く使えるため、IT管理者の負担も少ない。実際に導入してその良さに気づき、リピート購入する企業が増えている。
VAIO
代表取締役 執行役員社長
山野 正樹 氏
色やデザインが美しい点も、VAIOのウリだ。社員の受けが良く、商談の場面でもイメージが良い。「筐体のカラーを社員の好みで選べるようにしているお客様もいます。自分で選んだPCなら愛着が生まれやすく、仕事のモチベーションが上がるからです」(山野氏)。オフィスワークはもちろん、リモートワークの浸透により自宅でもPCと向き合う時間が増え、在宅勤務時のモチベーションが課題になっている。社員のエンゲージメントや生産性の向上を視野に入れ、VAIOを選ぶ企業も増えた。
VAIO
代表取締役 執行役員社長
山野 正樹 氏
VAIOは2014年にソニーから独立し、今年で10周年を迎える。VAIOというブランド名は「Video Audio Integrated Operation」の頭文字を取ったもので、最初はエンターテインメントを高品質に楽しめるPCとしてスタートした。
しかし、ソニーからの独立を機に、VAIOは経営戦略を大きく変えた。新戦略の柱は2つある。1つは「法人市場にフォーカスすること」だ。音楽や動画を楽しむデバイスは、PCからスマートフォンに移りつつあった。加えて、コンシューマー市場は変化が速く、安定した成長が望めない。堅調なビジネスが期待できる法人市場に大きく舵を切った。
もう1つは、「海外市場からの撤退」だ。VAIOの人気は海外でも高かったが、国内市場にリソースを集中させ、ビジネスの基盤を固めることにした。国内のユーザー向けに特化した商品を、国内で製造する。徹底的に国内ユーザーに寄り添ったPCというVAIOのブランドを確立した。