誕生から四半世紀、進化を続けるVAIOの神髄 誕生から四半世紀、進化を続けるVAIOの神髄

VAIO株式会社
代表取締役 執行役員社長 山野 正樹
VAIO株式会社
取締役 執行役員 林 薫

 パーソナルコンピューター(PC)のブランド「VAIO」が誕生し、四半世紀。振り返ると変化と改革の歳月だったといえるかもしれない。事業主体がソニー(現ソニーグループ)からVAIO株式会社へとバトンタッチされたのが2014年。「機能美」などソニー時代からの遺伝子は受け継ぎながら、ビジネスの軸足は一般向けから法人向けへと大きくシフトした。スマートフォンやタブレットの台頭でPCを取り巻く環境も変化する中で、リモートワークの普及という追い風も吹く。PCだからこそ果たすべき役割は何か。それを追求し、使いやすさにも配慮したハイスペックなものづくり――。そんなVAIOの神髄と今後の成長戦略を山野正樹 代表取締役 執行役員社長とVAIOの開発責任者である林薫 取締役 執行役員 テクノロジーセンター長に聞いた。

  • ※2022年8月25日~2022年9月24日に日経電子版広告特集にて掲載。
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Vol.3 変動する環境、こだわり続けるDNA トップが語るVAIOが目指す姿とは Vol.3 変動する環境、こだわり続けるDNA トップが語るVAIOが目指す姿とは

「従来にはない体験を通じPCライフを進化させたい」 「従来にはない体験を通じPCライフを進化させたい」

――総合商社から転身し、社長に就任されて1年が経ちますが、それまでVAIOとの接点はなかったそうですね。

山野 商社時代はIT関連分野が長く、米国やシンガポールにも駐在したので、国内外のPCブランドの商品には数多く触れてきましたが、VAIOだけは縁がありませんでした。社長に就任したのは全くのご縁ですが、業界が近くチャレンジしがいがあると思ったのと同時に、運命的なものも感じましたね。

――VAIOの商品や会社についての印象はいかがですか?

山野 VAIOはソニー時代からPCに世界で初めてカメラを搭載するなど先進的で、ガジェット好きが愛用するアイテムという印象が強かったですね。ものづくりへの姿勢や商品のスタイリッシュさは、ソニー時代からのDNAを継承しているなと社長になって感じます。また、かつてとは違って法人市場に注力し成長を遂げている点も新鮮な驚きでした。VAIOはこだわりの強いメーカーで、そのこだわりは大事にしたい反面、私はお客さまに評価されないこだわりは捨てて、性能・品質と価格のバランスを取ることが大切だと考えています。

代表取締役 執行役員社長 山野正樹 代表取締役 執行役員社長 山野正樹
代表取締役 執行役員社長
山野 正樹

東京大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。ITサービス事業本部長やシンガポール支店長などを歴任した。2020年11月、
日本産業パートナーズに参画し、21年6月からVAIO株式会社 代表取締役 執行役員社長。

――その点、開発責任者のお立場ではどうお考えですか。

 そうですね。VAIOは目新しいことをしたい、というより従来にはない体験を通じPCライフを進化させたい。そう願ってものづくりを続けてきたからこそガジェット好きだけでなく多くの方から愛されてきたのだと思っています。まさにそれがVAIOのDNAではないでしょうか。お客さまの期待を先回りしたり、思いもしなかったことを実現したりするのは推進すべきでしょうが、技術者の自己満足に終わってしまってはいけない。やはりそのバランスが重要であり、新生VAIOになってからは以前より上手に見極められるようになってきたと思っています。

山野 ブレークスルーというより、小さな積み重ねではないでしょうか。VAIOの最新モデルでは約19ミリのフルピッチキーボードを採用しているので、コンパクトPCでもタイピングしやすいです。キーボードのサイズを広くとっているので技術的な難しさが伴いますが、使いやすさを考えると、このキーピッチにはこだわりたい。キーボードも静音仕様なのでカチャカチャと音が出ないし、ディスプレーも片手で開けます。PC使用時にはキーボードの奥が持ち上がる構造になっているのでタイピングも快適です。一度お使いいただければ、良さはすぐに体感いただけると思います。

取締役 執行役員 林薫 取締役 執行役員 林薫
取締役 執行役員
林 薫

1992年にソニーに入社後、VAIO事業本部の設計部長などを歴任。2014年7月にVAIO株式会社に移り、PC事業部長などを務め18年執行役員、21年9月から現職。

持続的成長の基盤をつくり、さらなる飛躍を目指す 持続的成長の基盤をつくり、さらなる飛躍を目指す

――VAIO誕生から四半世紀でPCを取り巻く環境も変わりました。

 スマホやタブレットの登場で、PCの使われ方が変化したのは確かです。この先PCはどんな役割を果たすべきなのかを社内で議論を重ねました。至った結論は何かを成し遂げようとする人をサポートするためのデバイスであるべきだ、というもの。ビジネスパーソンは仕事で何かを達成するためにPCを使っておられるわけで、その意味でPCと法人向けビジネスの相性はすごくいいのではないでしょうか。一般向けとは違って法人向けは、求められるスペックにフォーカスしやすいのもメリットです。一方で品質に関するユーザーの感度は格段にシビアになっていると感じます。

林薫

――山野社長は自ら営業にも乗り出しておられるとお聞きしました。

山野 社長就任時に私のミッションは「VAIOの持続的成長の基盤をつくること」と社員に話しました。しっかり基盤が築ければ、成長の余地はまだまだあると考えています。そのために必要なのは営業改革や商品戦略、仕組みづくりなどです。私もセールスに出向きますが、「VAIOは法人向けもあるのですね」と驚かれます。今、売り上げの4分の3が法人向けなのに認知度が低いので、これをぜひ払拭したいですね。VAIOを試しに使っていただくと「これ、いいよね」となり、名だたる企業に採用いただいた事例もあるので、企業における認知度を上げて、まずは採用候補としてご検討いただくことが大事だなと改めて感じています。また、直販には限界があるので、販売パートナーである大手のディストリビューターやSIerとの連携も強化し、幅広くセールスに乗り出すようにしています。

――社内には「技術営業部」という部門があるそうですね。

山野 技術部門の経験が長く、知見を持った社員が中心の部署です。ある程度、話が進むと技術面でのテーマも絡み、法人ビジネスの現場でのニーズを技術者の立場から本社工場の安曇野にフィードバックできるので、お客さまにご評価いただいているだけでなく、VAIOの強みにもなっています。

山野正樹

VAIOの特長「カッコイイ、賢い、ホンモノ」 VAIOの特長「カッコイイ、賢い、ホンモノ」

――新型コロナウイルス禍を機にテレワークが広がり、自宅などでPCを使う人も増えています。

 テレワーク時代をにらみ、VAIOの最新モデルには快適で便利な仕掛けをいろいろ搭載しています。その1つが周囲の雑音をカットする人工知能(AI)ノイズキャンセリング機能です。周囲がうるさい中でのオンライン会議でも、AIが人の声と騒音とを聞き分け、聞き取りやすく調整してくれるとても賢い機能です。

山野 自分の声はもちろんですが、相手側の周囲がうるさいときも機能を発揮してくれるので助かります。だから私は「カッコイイ、賢い、ホンモノ。それがVAIOの特長です」といつもいっています。

安曇野林薫 安曇野林薫

 VAIOが法人向けビジネスに軸足を移すにあたり、「2人のお客さま」と向き合っていこうと決めました。1人は法人の購買意思決定者(ITマネジャー)、もう1人がエンドユーザーである社員の方です。ITマネジャーの方の見解はしっかりと聞き、勉強する必要がありましたが、エンドユーザーの声はソニー時代からの経験を生かせます。2人のお客さまが満足いくものをつくれば、他にはない法人向けPCになると確信しています。起動・認証をスムーズにするユーザーセンシングや、カラーバリエーションを豊富に取りそろえている理由も実はそこにあります。往々にして優れた機能は他社もすぐに追随するものですが、よくVAIOがその先駆けとなるのは、2人のお客さまの使い勝手を常に考え、これが必要だと気づけるからだと自負しています。

山野 他社の商品にはなかなかないアーバンブロンズも意外に人気の色です。法人向けPCは一般に黒やシルバー中心ですが、VAIOの白(ファインホワイト)を採用してくれた企業もありますよ。実機をご覧いただくことで、カラーも含めた品位の高さを実感いただいています。

安曇野本社 安曇野本社

VAIOは世界の中でキラリと光る存在に進化する VAIOは世界の中でキラリと光る存在に進化する

――今後のVAIOのグローバル戦略やビジネス展開についてお聞かせください。

山野 海外展開では現在のライセンス商品だけでなく、自社開発の商品をもっともっと販売していきたいと考えています。そのためにはコスト競争力が必要です。お求めやすい価格帯で、上質な商品をお届けできるようにするため、今プラットフォームの見直しも進めています。海外でも販売力のあるパートナーと組むことで米国や中国、さらにはVAIO人気が高いブラジルでのビジネスを強化していくつもりです。また、VAIOの東京オフィスは営業が中心となりますが、2022年8月に移転・拡張し、対面やオンラインでいつでもお客様をお迎えできる環境を整え、ものづくりの拠点である安曇野と一体感を持って飛躍していきます。

――PCの未来についてはどうお考えですか。

 ビジネスパーソンが元気になるPCをこれからもつくり続けていきたいと思っています。また、VAIOという商品を通じて日本のものづくりの良さを世界に改めてアピールしていければいいですね。その結果、経済が活性化し、世界中のビジネスパーソンが元気になるとうれしいです。

――最後に社長からのメッセージをお願いします。

山野 法人ビジネスにおいてVAIOのシェアはまだ低く、価値を十分伝え切れずにいます。そのためにもぜひお使いいただきたい。PCは安ければいいという考えもありますが、実際にVAIOを使っていただくと、“カッコイイ、賢い、ホンモノ”に喜んでいただいているお客さまがたくさんおられます。大手のメーカーに比べ、VAIOは規模は小さいものの、独特の光を放つブランドです。その良さを体感していただけるユーザーを増やし、キラリと光る会社に育てていきたいですね。日本だけでなく世界の中でキラリと光る会社に進化する、それが私たちの目標です。