安曇野発、チームVAIOは共に走り続ける 安曇野発、チームVAIOは共に走り続ける

VAIO

 新型コロナウイルス禍で普及したリモートワークやオンライン会議、ペーパーレス化、押印の簡略化など、ビジネスPCをめぐる環境は近年、大きく変化している。VAIOはこうした変化の波頭を捉えた製品やサービスを次々と打ち出している。VAIO® Pro PKに搭載された、人工知能(AI)によるノイズキャンセリング機能やタッチパネル液晶、そしてリモートアクセスサービスなど、どれもがビジネスシーンでの「あったらいいな」をかなえるものだ。しかし、これらが無事に世に出るまでには、トラブルもあればギリギリまで粘ってピンチを乗り越えるチームの連携もあったという。かかわったすべての社員が奔走し続ける日々、それは長野県・安曇野市にあるVAIOの本社工場の「一つ屋根の下」で繰り広げられたチームVAIOのストーリーだ。

  • ※2022年3月10日~2022年4月9日に日経電子版広告特集にて掲載。
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VAIO® Pro PKの開発に秘められた「一つ屋根の下」ストーリー VAIO® Pro PKの開発に秘められた「一つ屋根の下」ストーリー

エピソード1 AIノイズキャンセリング機能はこうして生まれた エピソード1 AIノイズキャンセリング機能はこうして生まれた

部品調達が間に合わない

 「部品が調達できそうにない」。メールにはそう記されていた。
VAIO Pro PKのプロジェクトリーダーを担当する設計の江口修司は、一瞬目を疑った。メールの差出人は、各部品の調達窓口を担当している白井亜希。その部品は、量産を2カ月あまり後に控えたVAIO Pro PKの目玉の一つとなるAIノイズキャンセリング機能に欠かせないものだった。
 新型コロナウイルス禍でオンライン会議が急速に広がったが、生活音や周囲の雑音が会議の進行を妨げると課題になっていた。そのころAIが話者の声以外のノイズを識別し消す技術は業界で一気に注目を集めていた。設計チームは奮起し、この技術の採用を検討していた。営業からの要望もあり、機能の追加が決まったのは、実は設計の後半戦。
 江口をはじめとする設計チームが量産の準備に入っているなかでの一報だった。調達できないと言われた部品は、わずか米粒ほどの大きさのIC(Integrated Circuit:集積回路)。話者の位置を判断するカメラとマイクをつなぐ部分で使用する、ごく汎用的なICで、「調達できないなんて想像もしていなかった」(江口)という。世界的な半導体不足が背景にあった。

テクノロジーセンター プロジェクトリーダー課 江口 修司

 「AIノイズキャンセリング機能は断念せざるを得ないかも」。白井がそんなことを考えたころ、困り果てた二人のもとに、思わぬところから救いの手が差し伸べられる。「調達できないICを使わずにすむよう、カメラモジュールの仕様を変更してみては」という設計チームからの提案だった。量産まで2カ月あまりしかないなか、短期間で仕様を変更。量産に間に合わせた。部品の調達難で目玉機能が実現できないというピンチを、VAIOのチームプレーが救った。

 「大仕事が来たぞ」と身構えた人がもう一人いる。製造の手塚毅だ。
 AIノイズキャンセリング機能が威力を発揮するには、マイクの性能が要となる。人の声とそれ以外を識別するだけでなく、常に人がどの位置で話しているかをマイクで捉えられないと、「PC前で話している人の声だけを拾って相手に届ける」ことができなくなる。

左右のマイクに音が入って来る時間差を使って音の位置を判別し、周辺ノイズを低減する処理を行っているため、それぞれがちゃんと音を拾っているか、左右別々にマイクテストが必要になる。とはいえ、コストと効率を考えると1台ずつ手動で検査をするわけにもいかない。

オペレーション本部 技術&製造部 生産技術課 手塚 毅

 そこで手塚が着手したのが、自動検査装置の開発だ。左右のマイク性能を確実に確認できる検査環境を整えるため、集音の経路や録音レベルを調整。装置の材質や検査条件にもこだわり、設計と連携して試行錯誤を繰り返した。この結果、高いレベルでマイクの機能を検査できるようになった。
 量産まで時間が限られたなか、なぜピンチや大仕事を乗り越えられたのか。3人は声をそろえる。「とにかく早いタイミングで相談を始め問題意識を共有してきたことと、実現したいゴールへの共通認識があったから」。設計はいわばものづくりの地図だ。江口らが書いた地図で、白井や手塚がゴールにたどり着けるか。早くから地図を皆で見てあれこれ話をしているから、難しいところがあればすぐに相談できるし、場合によっては求められる性能や水準を満たすための設計変更や方向転換が可能になる。
 部署の垣根を越えた連携が、高品質なAIノイズキャンセリング機能という形になって結実した。

オペレーション本部 SCM部 オペレーション課 白井 亜希

エピソード2 タッチパネル搭載モデルを作ろう エピソード2 タッチパネル搭載モデルを作ろう

きっかけは営業からの声だった。

 設計が進み、仕様がある程度固まってからも、新たなニーズが見つかれば機能を追加する。VAIOではよくあることだという。VAIO Pro PKに搭載されたタッチパネル液晶の場合も、そうだった。
 きっかけは営業からの声だった。設計の江口に「タッチパネルを搭載できないか」と相談がきたという。押印の削減、ペーパーレス化によるPCでの署名に加え、タッチ操作でのパスワード入力を求める場面が増えるなど、タッチパネルを求める声が高まっていた。
 設計の江口に課された難題は、タッチパネルを備えながら薄型軽量を実現すること。通常のタッチパネルはLCD(液晶ディスプレイ)の上にタッチ用のセンサーを乗せ、上から全面を保護用のガラスで覆う。ところが、これだと重く厚くなってしまう。
 そこで、江口は構造の考え方を転換しインセルタッチ式を採用。LCDにセンサーを内蔵させ、ガラスはPC画面の額縁であるベゼルの内側に入れ込んだ。ベゼルの中にガラスを入れ込むのは、パートナー企業では難しく、製造部署に交渉して社内で実装できるようにした。

オペレーション本部 品質CS部 品質保証課 赤坂 修

 タッチパネルの設計がようやく固まった頃、品質の赤坂修は別の観点でタッチパネルのテストに早々にとりかかろうとしていた。気になっていたのは「書き味」だ。
 タッチペンで書いたときに、まるで紙に書いているように文字が書けるか。ペンを持った手をパネルが誤って探知して、余計な線を書いてしまわないか。こうした「書き味」は表面のガラスの滑り具合、タッチパネルの感度など数値での判断が難しい。
 「できるだけ早くテストを開始させてほしい」。赤坂は試作の早い段階から検証プロセスを回し始めた。
 線をひたすら書き続け、線が途切れないかを確認する。書き味をとことん調べるために漢字を書き連ねた。設計はすでに後半戦。書き味は設計が求める水準には達していた。だが、赤坂は納得していなかった。ハライの書き味はもっと改善できるはずだ。お客様が求めるレベルを超え、赤坂らが納得する水準にたどりついたのは、量産開始の直前だったという。

エピソード3 ソコワク始動 エピソード3 ソコワク始動

すぐに会話が始まる風通しの良さ

 営業の声を設計でキャッチし、製造や品質保証が商品化に向けて全面サポートする。VAIO Pro PKの開発で繰り広げられたような連携は、VAIOが新たに始めたリモートアクセスサービス「ソコワク®」でも発揮されたという。
 ソコワクは高い安全性を誇るリモートアクセスサービス。通常のVPN(仮想私設網)はパスワード入力を求める。しかしパスワードだけでは安全性は低い。多要素認証などさまざまなセキュリティー強化策があるが、ソコワクは個体認証で端末自体を認証し、パスワードなしに安全にリモートアクセスできるのが特長だ。
 ソコワクのサービス設計に際して、導入者にあたる情報システム部門や、利用者である管理部門はどんな機能を求めているのか。接続に問題はないか。こうした疑問をひもとくため、ソコワクを担当する安藤徹次と瀧川晶義が声をかけたのは、VAIO社内の情シスや管理部門だ。
 「長野県安曇野市にあるVAIOの本社は、私の席からすべての部署が見えるくらい距離が近い。ちょっと聞きたいんだけど、という会話がすぐに始められる関係をふだんから築いているから、ソコワクに関してもすぐに相談できた」。安藤はそう振り返る。

開発本部 ITソリューションセンター サービス開発課 瀧川 晶義

 ユーザーとして接続の検証に参加したのは、役員クラスも例外ではなかった。東京にいる役員から接続の問い合わせや、「ここはどういうこと?」とチャットが入ることもしょっちゅうだったという。今では多数の人が一斉に接続して負荷をかけても問題無いかを確認するなど、社内の連携でサービスの質向上に努めている。
 ソコワクの前身であるサービスは、VAIO PCに限定していたが、ソコワクは他社製の端末も対象に加わっている。マルチベンダー化にあたり、社内でためらいはなかったという。「VAIOも使っているが、他社PCも採用しているから、マルチベンダーだと助かる」というクライアントの声は、営業から安藤や瀧川にすぐ届けられていたためだ。
 ソコワクのサービス開始を発表してわずか数日後、あるクライアントから早速「マルチベンダーにしてくれたんですね」とサービス導入の問い合わせが入ったという。「営業とも密に連携して、お客様の声に常に耳を傾けてきたからこそ、ニーズに応えられた手応えを実感しました。うれしかったですね」と瀧川は振り返る。
 VAIO Pro PKの開発、そしてソコワクのサービス開始。数々の困難を乗り越え、お客様のニーズに素早く応えスピーディーに、高いクオリティーを生み出してきた。

開発本部 ITソリューションセンター ソコワク事業室 安藤 徹次

なぜそれができたのか。この問いに全員が声をそろえた。「密なコニュニケーションが生む部門を横断するチームでの連携」。これが今のVAIOを支えるパワーとなっている。 なぜそれができたのか。この問いに全員が声をそろえた。「密なコニュニケーションが生む部門を横断するチームでの連携」。これが今のVAIOを支えるパワーとなっている。