開発ストーリー Vol.04 VAIO Z

思考と創造の境を無す。
人間の可能性を信じるPC

VAIOがお勧めする Windows.

いち早くVAIO Zを手に入れた人たちの日々に、VAIO Zはどのように存在しているのだろうか。すでに欠かせない道具となっているだろうか。先頃、VAIO株式会社では、これまで個々にチェックしていた世の中の反応をタイムリーに吸い上げるシステムまでつくり上げた。VAIO専用ツイートクリッピングシステムとでも言おうか。Twitterに上げられたVAIOに関するすべてのつぶやきを自動的に検索し、会社として誰もがいつでも見られるようにしたのだ。このシステムはすでに様々な効果をもたらしている。満足度の高さに、使っているだけで顔がほころび続ける、そんな声を目にすれば、思わずありがとう!と返したくなるほどモチベーションが自然と高まるものだ。一方、製品に対する要望や不満も即座に知ることができる。不具合の情報があれば、誰が指示するでもなく解析チームができあがり、動き出している。人々の声を、VAIOの製品づくりの至るところに活かすために。

今回VAIO Zは2 in 1デバイスとして、VAIO Duo 13のサーフスライダーではなく、VAIO Fit シリーズで採用していたマルチフリップ機構をさらに進化させて搭載した。マルチフリップを選んだのは何故か。クリエイターに好評のVAIO Duo 13のサーフスライダーには、液晶ディスプレイスライドさせて素早く変形できるというメリットがある。しかしビジネスユーザーにしてみれば、液晶の角度が変えられないこと、またタッチパッドが小さいことが不満になっていた。ビジネスにおける生産性のためにクラムシェル形状の使い勝手を100%確保しながら、創造性を加えていく。そのためには、マルチフリップ機構が最適と判断した(PM 笠井)。普段は、使い慣れたクラムシェルノートPCスタイル。ひとたび、タブレット形状にすれば、ペン入力でデジタルノートに。そして画面を相手側に返せばプレゼンモニターに。マルチフリップなら、使う人が自由自在にワークスタイルを広げることができる。この機構を構造的に支えているのが、液晶ディスプレイ背面中央部のラバーヒンジだ。こだわったのは耐久性です。ひとつは“開閉”に対する耐久性。もうひとつは“劣化”に対する耐久性。この2点から耐久性を追求し、理想的な性能を持ったゴム素材を選びました(PL 原田)。究極のPCを目指したと言われれば、多くの人はパフォーマンスのみに目を向けがちだ。しかし、優れたパフォーマンスを長く安心して使ってもらうためには、耐久性も究極でなければならない。それがVAIOの考え方だ。名称は同じ“ラバーヒンジ”でも、以前のモデルで用いていたものとはまるで別モノであるほどに質を高めました(PM 笠井)。耐久性のレベルの違いを見てほしいと考え、VAIO meeting 2015ではデモ展示としてフリップヒンジ引張耐久試験を行った。液晶を開いた状態のVAIO Zに5kgの鉄アレイを付けて吊り下げたのだ。イベント開催時にすでに十数時間を経過していたもののVAIO Zはびくともしない。見ているファンからはここまで耐える性能が必要なのかと悲鳴が聞こえてきそうだったが、ここまでやるのがVAIO Zなのだ。

ビジネスの現場で
最も使い込でいる人に学べ。

人の創造性サポートするという観点から、VAIOは、他に先駆けてノートPCにおけるペン入力に取り組み、2012年に発売されたVAIO Duo 11で初めてデジタイザースタイラスペン)を導入した。以降新モデルを登場させるたびに進化させてきた。 今回VAIO Zへ採用するにあたり、開発チームはいつも異なる視点からアプローチした。ペンやデジタルノートが、現時点で、どう使われているのか。通常なら、より広くより多くの人に調査をかけるところだが、今回はエクストリームユーザーのみに注目した。製品をとことん使い込み、メーカーが想定していなかったような使い方もする。そんなエクストリームユーザーを参考にすることで、ビジネスシーンで真に役立つデジタルノートの使い方や本当に必要な機能を模索した。調べてみてわかったのは、情報を整理し、自分の頭の中をまとめるために使っている人が多いということだ。インターネットから入手した情報はもちろん、ホワイトボードや紙の資料といったアナログの情報もカメラで撮影して取り込み、OneNoteに貼付ける。そこに手書きでアイデアや考えを書き入れ、チャート化。自分なりの結論を導き出すのに役立てているのだ。VAIO社内ではソフト設計の藤井も、自他ともに認めるエクストリームユーザーの一人である。私自身はVAIO Duo 11のデジタイザースタイラスの導入を担当し、そこから初めて使うようになりました。それ以前は、紙のノートも使わない人間。すべてキーボードで打ってメモを取っていました。しかしデジタルノートを使うようになって、より複雑なことが整理しやすいというのがわかったんです。頭の中が整理されるから、新しいアイデアが生まれてくるのだと思いますソフト設計 藤井)。人の思考を助け、創造へとつなげていく。ビジネスにおける新たな使い方を想定し、VAIO Zは必要な機能として筆圧感知デジタイザースタイラスデジタルノートアプリOneNote、そしてドキュメントスキャン用の8 M CMOSセンサースキャナアプリCamScannerを搭載した。

絵を描くのと文字を書くのでは、求める書き味も当然異なる。デジタルノートは、ビジネスユーザーを意識し紙のような書き味にこだわった。具体的には、ペン先の視差(ペン先が触れた位置と画面に線が描き出される位置の差)を小さくするために、液晶とガラスの間に特殊な樹脂を入れた。さらに、書き味を個人の好みに合わせて設定できるよう、筆圧感知のユーティリティデジタイザースタイラスに導入している。難しかったのは、書き味というアナログ的な感覚を、デジタルの01の世界にどう置き換えていくかだった。これは何か一つのデバイスを改善すれば完結するという単純な作業ではなかった。ペンを握ってPC画面に書いているとき、どんなことにストレスを感じているのか。紙と違って、どんな感覚を快適だと思うのか。人によって異なるフィーリングの部分における課題や要求をすべて拾い起こした。その上で、関連するデバイスに落とし込む際には、どんな改良を加えれば最も効果的なのかを考え見極める。さらに、その想定が正しいかをまたアナログに戻して確認する。こうした作業を、仕様を詰める以前に何度も行っている。感覚的な価値を形にするには、知恵と根気がいるのだ。

輝度をもっと上げたいが、
電力は少しも上げられない。

液晶ディスプレイに高画質・高精細を求めるのは、美しさのためだけではない。使う人にストレスを感じさせないという理由もある。テレビやスマートフォンなど普段使うものが高解像度化し、キレイなものを見慣れている私たちは、文字などの精細度が低いとストレスを感じるようになっている。今回VAIO ZはモバイルノートPCでありながら、デスクトップモニター並みの品質を追求。13.3型でWQHD 2,560×1,440ドッドの解像度を持つ液晶ディスプレイを、液晶ベンダーと共同開発して搭載している。開発当初から、わかっていた課題があった。高解像度と省電力の両立だ。一般に高解像度化を図ると、バックライトの輝度を上げなければ使う人は暗いと感じてしまう。だが、バックライトを明るくすると、消費電力が増える。液晶ディスプレイはPCの消費電力の大半を占めるだけに、充電なしでまる1日使えるモバイルノートPCを目指していたVAIO Zにとって、液晶の消費電力の増加は最小限に抑えたかった。そこで開発メンバーは、これまで取引のない液晶の部材ベンダーに連絡を取ることから始めた。普通のPCメーカーであれば、液晶ベンダーに必要なスペックだけを提示し、完成品としての液晶モジュールを購入して組み込むという流れになる。しかし、あらかじめ解決すべき課題を把握していた開発メンバーは、液晶メーカーではなく、まずバックライトやLEDやカラーフィルターの部材ベンダーに直接交渉し、自分たちが納得できる部材を探した。これはVAIOにしても、部材ベンダーにとっても、意義のある取り組みだった。たとえば、輝度は上げたいが制約があるとか、正面の輝度は落としてもいいが斜めからの輝度が欲しいとか。我々の要望を膝を突き合わせて聞いていただき、議論しながら進めました。お互い普段は知ることのない情報も共有しながら、VAIO Zというモデルに最適な液晶ディスプレイをつくることができました。(液晶設計 古川)。異例のプロセスを経て、バックライトは極めて集光度の高いものをVAIOが選定し、液晶メーカーに採用してもらった。最終的には、高解像度化を図りながら、一般的なWQHDパネルに比べ約40%もの省電力化に成功している。

オンの究極は、
オフでも究極になる。

モバイルノートPCにおいてスピーカーは軽視されがちだが、VAIO Zはその性能も格段に進化させた。ビジネスの現場では、音声付きの動画でプレゼンする機会が増えているからだ。PMの笠井自身も開発メンバービデオを見せて説明することが多く、外付けの大きなスピーカーをPCと共に持ち歩いているが、その不便さを以前から感じていた。最強のビジネスツールを目指す以上、広い会議室でプレゼンする場合でも、後ろの人まで音が届くようにしたい。必要なのは音圧だった。そのため、バッテリーの下に空いているわずかな空間をすべてスピーカーのために利用。形状はいびつだが、同サイズモバイルノートPCに比べ約2倍もの容積のスピーカーを載せることができた。音の響き方も考慮し、スピーカーの開口をPC下部の手前左右に設定、さらに滑り止めラバーで設置面から浮き上がらせ、音を広がりやすくしている。音圧の向上と設計の工夫によって、VAIO Zは100人規模のプレゼンに対応するスピーカーを実現した。オンでの使われ方を想定してパフォーマンスを高めたスピーカーは、もちろんオフでもユーザーに満足をもたらしてくれる。高音質のサウンドを、これまでにない高音圧でダイナミックに堪能することができるのだ。オンの究極は、オフでも究極になる。これはスピーカーに限った話ではない。1分1秒を無駄にしないという考え方でレスポンスを極め、モビリティと両立させたVAIO Zは、余暇でも最強のパートナーになるはずです。スマートフォンタブレットの性能では到底楽しむことのできないゲームだったり動画編集などを、家でも旅先でもどこでも満喫できる。いつもそばに置いておきたくなる、まさに究極の道具です(PM 笠井)。

発表から1カ月あまりが経過した。安曇野工場からは、次々とVAIO Zが出荷されている。Twitterのシステムなどを利用して、実際に使い始めたユーザーからの反応に耳を傾ける一方、開発チームは次の究極に向かって動き始めている。開発は、常に継続的に行われているのだ。PMの笠井が描いているのはお客さまの歓びの進化だ。人は新たな製品と出会い、それを使うことにワクワクドキドキするような思いを感じながら購入する。けれど、使用するうちに、製品の見た目は次第に劣化していくし、インパクトのあった新性能や新機能もやがて当たり前のものになっていく。これはどんな製品でも同じように言えることだ。だからこそVAIOは変えていきたい。買った時のときめきが、ずっと続いていく。そんな究極の歓びを形にしたい。具体的なネタは秘密です(PM笠井)。

(2015年4月23日掲載)

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